
8月9日に行われた2025明治安田J2リーグ第25節で、北海道コンサドーレ札幌(10位)は、V・ファーレン長崎(6位)と対戦。1-2で逆転負けを喫し、順位を11位に下げた。
試合の翌々日、11日に衝撃の発表があった。今シーズンから札幌を率いていた岩政大樹監督の解任がクラブの公式HPで明らかになったのだ。
岩政監督は現役時代、鹿島アントラーズやファジアーノ岡山で活躍し、日本代表にも名を連ねた闘将タイプのDF。現役引退後は鹿島のヘッドコーチや監督を務め、2024シーズンはベトナム1部リーグのハノイFCで躍進に貢献するなど、指揮官としての評価を高めていた。
札幌では、昨シーズンまで7シーズンにわたりチームを率いたミハイロ・ペトロヴィッチ氏が退任し、岩政監督が就任した。しかし、開幕4連敗を喫するなど、攻守のバランスが崩れチームは中位に低迷。
残り13試合となったこのタイミングでクラブは監督解任を決断した。「1年でのJ1昇格」という公約は果たせなかったものの、岩政監督がもたらした功績は少なくない。この記事では、岩政監督の4つの功績を紹介する。

岩政監督下で花開いた西野奨太
岩政監督の功績としてまず挙げられるのが、DF西野奨太の覚醒だ。当時高校2年生だった西野は、2021シーズンに飛び級でトップチームへ昇格。現役高校生としてのプロ契約はチーム史上初となる出来事で、大きな期待が注がれた。
しかし、その道のりは決して順風満帆ではなかった。翌2022シーズンは主に下部組織でのプレーが中心で、U-19日本代表にも選ばれるなど成長を続けたが、高校卒業後にトップチームでの活動が本格化した2023シーズンは、J1リーグでわずか2試合の出場に留まるなど、プロの壁に直面した1年だった。
翌2024シーズンには、J3のカマタマーレ讃岐へ期限付き移籍。シーズン途中加入ながらリーグ戦13試合に出場し、終盤にはチームに欠かせない存在となって成長の手ごたえを掴んだ。
札幌に復帰した今シーズン、西野の運命を変えたのが岩政監督との出会いだった。大分トリニータとの開幕戦(0-2)こそ出場機会はなかったが、以降はセンターバック(CB)やボランチを主戦場に、ここまでリーグ戦19試合出場1アシストと、チームの中核を担うまでになった。
今シーズンの西野は、フィジカル面での成長はもちろん、特にデュエルの強さが際立つ。これは現役時代に闘将タイプのCBとして長年活躍した岩政監督の存在が大きいだろう。練習後に監督がマンツーマンで指導する姿も筆者は幾度も目にしてきた。わずか7カ月で別れを告げることとなった“恩師”へ、21歳の若武者は更なる成長を誓うことだろう。

バカヨコが札幌の得点源に
昨夏、J1残留の切り札として大型補強に乗り出した札幌。そこで獲得した1人が、シエラレオネ代表FWアマドゥ・バカヨコだった。190cm、80kgの恵まれた体格を武器に、ポストプレーや前線でタメを作れるのがバカヨコの持ち味だ。しかし、ペトロヴィッチ監督の攻撃的戦術にはなかなか順応できず、リーグ戦出場はわずか6試合で1ゴールという悔しい結果に終わった。
岩政監督を迎えた今シーズン、シーズンオフの補強は、ベルギー1部のコルトレイクからMF高嶺朋樹を獲得したのみで、監督には現有戦力をどう生かすかが問われていた。
バカヨコは開幕から2試合は出場がなかったものの、第3節レノファ山口戦(0-2)で今シーズン初出場。短い出場時間ながら、そのフィジカルはJ2でも群を抜いており、チームにとって有力なオプションであることを印象づけた。
以降はポストプレーを起点に、周辺選手とのコンビネーションを活かした連動性の高い攻撃で、札幌の得点力向上に貢献。自身もここまで23試合で7ゴールを挙げ、リーグ得点ランキングで10位タイにつけるなど、岩政監督の下で大きく飛躍を遂げた選手の1人となった。
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