プレミアリーグ

プレミアリーグは本当に世界最高か?CLで露呈した致命的欠陥の正体

プレミアリーグ 写真:アフロスポーツ

プレミアリーグ(イングランド1部)の熱狂的なファンであれば、誰もが「我々の愛するプレミアリーグこそが、世界で最もインテンシティが高く、世界最高のサッカーリーグである」と信じて疑わないだろう。

確かに、莫大な放映権料を背景に世界中からスター選手や名将をかき集め、毎週末のように激しい試合が繰り広げられるこのリーグは、エンターテインメントの観点では世界随一かもしれない。実際、Opta(※)のパワーランキングでも、プレミアリーグの平均レーティングは90.4と、欧州5大リーグの中で最も高い数値を示している。

しかし、ヨーロッパの最高峰舞台、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)のノックアウトステージに一歩足を踏み入れると、「世界最高」という称号には大きな疑問符がつく。直近のラウンド16を振り返れば、その現実はより鮮明だ。ベスト16に進出したイングランド勢6クラブのうち、実に4クラブ(マンチェスター・シティ、チェルシー、トッテナム・ホットスパー、ニューカッスル・ユナイテッド)が早期の段階で姿を消している。しかもその内容は深刻で、合計スコアは11得点・28失点という目を覆うような惨状であった。

2022/23シーズンの欧州王者マンチェスター・シティはレアル・マドリードに2戦合計1-5で敗れ、トッテナムはアトレティコ・マドリードに5-7、2020/21シーズン欧州王者のチェルシーに至ってはパリ・サンジェルマン(PSG)に2-8、ニューカッスルもバルセロナに3-8と、大差で粉砕している。

ここでは、この結果を単なる偶然やコンディションの問題として片付けるのではなく、プレミアリーグに根付く戦術的傾向に焦点を当て、その構造的な課題を読み解いていく。

※Opta:Stats Perform社が提供する世界最大級のスポーツデータサービス


現地メディアの反論にも限界が…

現地メディアや一部のデータアナリストは、これを「危機ではない」と必死に擁護する。例えば、シティにはMFベルナルド・シウバのセカンドレグでの退場という不運があった。さらにチェルシーも、ゴール期待値(xG)では2.83とPSGの1.99を上回っており、「決定力の差に過ぎない」とする見方もある。

また、プレミアリーグ特有の過密かつ高強度な競争環境を理由に、「疲労説」を持ち出す声も後を絶たない。他リーグに比べてターンオーバーが難しく、ミッドウィークの欧州戦ではコンディション面で不利になる。そんな説明が、もはや定番の“言い訳”となっている。

アーセナルとリバプールの2クラブがベスト8に進出していることを根拠に「プレミアの強さは健在だ」と胸をなで下ろすファンもいるだろう。実際、4シーズン連続でイングランド勢が2クラブ以上ベスト8に残っているのは事実だ。しかし、それでもなお拭えない違和感がある。あまりにも多い失点と、ピッチ上で露呈した内容面での差。これらは単なる「運」や「疲労」では片付けられるものではない。むしろそこに浮かび上がるのは、イングランド国内での“強さ”が、そのまま欧州では通用していないという現実だ。プレミアリーグが抱える戦術的な限界、あるいは後進性が、ここにきて如実に露呈しているのではないだろうか。

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名前:秕タクオ

欧州主要リーグはもちろんJリーグや代表チームまで。日々溢れるフットボールへの思考も濾過しつつニュートラルな視点を持ってフットボールの光と影を忖度なしに発信していきたいと思います。

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