
ガイナーレ鳥取:林健太郎監督
評価:★★★☆☆/続投可能性:100%
就任2年目の林健太郎監督の鳥取は、序盤こそ降格圏に沈んだが徐々に立て直し、最終的に11位で2025シーズンを終えた。総失点49と守備の安定感は一定の評価ができる一方、総得点44では昇格争いに加わるには力不足で、攻撃の単調さが目立った。
それでもクラブは12月11日に林監督の続投を発表。来季は攻撃陣の補強を進め、上位進出を目指す。暫定監督、コーチ、強化担当、スカウトと多岐にわたる経験を持つ林監督の継続起用は、クラブの中長期的な強化方針に沿った判断と言える。ホーム戦の平均観客数は2,835人で、前年比116%増と地元の機運も高まりつつある。
林監督自身も「アウェイ戦の弱さ」「上位チームへの弱さ」「負け数の多さ」を課題に挙げつつ、「クラブの方向性は間違っていない」と3季目となる来季を見据えている。

カマタマーレ讃岐:金鍾成監督
評価:★★☆☆☆/続投可能性:0%
東京生まれの在日朝鮮人3世で、東京朝鮮中高級学校、朝鮮大学校、在日朝鮮蹴球団(現FCコリア)を経て、ジュビロ磐田のハンス・オフト監督(当時)に見い出されプロデビュー。北朝鮮代表歴も持つ異色の経歴の金鍾成監督は、7月8日に解任された米山篤志前監督の後任として就任した。
しかし就任後、チームはリズムを崩し、順位を急落。一時は降格圏にまで沈み、最終的に17位で残留は果たしたものの、総失点57はJ3でもワーストクラスの数字だった。守備の立て直しに着手する間もなく、シーズンが終わった印象は否めない。
クラブは今季限りで金監督を退任させ、2025シーズン途中でFC大阪の監督を辞した大嶽直人氏を次期監督に指名。指揮官交代に伴い、選手構成を含めた大幅なチーム刷新が予想される。

高知ユナイテッド:白石尚久監督
評価:★★☆☆☆/続投可能性:60%
Jリーグ初挑戦となった2025シーズンの高知は、秋田豊監督を迎えてスタートしたが、6月に同監督のパワハラ問題、9月には山本奈穂美社長によるパワハラ問題が表面化し、ピッチ外での混乱が続いた。
その中で新監督に就任したのが白石尚久監督だ。明治大学卒業後にフランスでセミプロ選手としてプレーし、27歳で現役引退。帰国後は電通に入社し、サッカー事業局で実績を積んだ後に退社。指導者を志して欧州に渡り、スペイン、オランダ、ベルギー、イングランドで経験を重ねた異色の経歴を持つ。
高知は19位の長野に勝ち点3差と、薄氷の残留となったが、Jリーグ参入初年度でJFLへの逆戻りを回避した点は一定の評価に値する。クラブ内の諸問題を整理し、白石監督が手腕を発揮できる環境を整えられれば、伸びしろは十分にある。再チャレンジの機会が与えられるかどうかが、今後の分岐点となりそうだ。

ギラヴァンツ北九州:増本浩平監督
評価:★★★★☆/続投可能性:80%
最終節までプレーオフ進出の可能性を残した増本浩平監督の北九州だったが、松本に敗れて2025シーズン8位に終わった。総得点46、総失点41と攻守のバランスは良好だった一方、16敗のうち14試合が1点差負けと、接戦で勝ち切れない弱さが最後まで響いた。
それでも増本監督就任以降、2024シーズンは7位と、常に「あと一歩」の位置につけているのは事実だ。その前2シーズンが2桁順位(2023年は最下位)だったことを踏まえれば、チームを着実に立て直した手腕は高く評価できる。
2023年にProライセンスを取得し、同年6月に鳥取の監督に就任してチームを6位まで引き上げた実績を買われ、北九州に招聘された増本監督。続投となれば3年目を迎える。純国産メンバーながら個々のポテンシャルは高く、負けを引き分けに、引き分けを勝ちに変えられれば、次季はプレーオフ進出、さらには自動昇格圏も視野に入ってくるだろう。

テゲバジャーロ宮崎:大熊裕司監督
評価:★★★★★/続投可能性:90%
4位でプレーオフに進出した宮崎を、初のJ2昇格へと導いた大熊裕司監督。12月7日の準決勝で鹿児島を2-0で下すと、決勝ではFC大阪を圧倒。リーグ3位タイの総得点61という攻撃力を武器に、堂々の昇格を決めた。
FW橋本啓吾は25得点で得点王に輝きチームの象徴的存在となったが、注目すべきは、橋本を欠いたプレーオフ決勝でも攻撃力が落ちなかった点だ。【4-2-3-1】を軸に可変システムを使い分けるなど、大熊監督の戦術的柔軟性が結果に直結した。
無失点試合の少なさ(9試合)という課題は残るものの、続投は濃厚だろう。2014年にC大阪を率いJ2降格を経験した大熊監督にとって、来季は宮崎で迎える3年目。強化部長も兼務する指揮官が理想とするチーム作りを完成させ、百年構想リーグ、そして2026/27シーズンでのさらなる飛躍へつなげられるかが注目される。

鹿児島ユナイテッド:相馬直樹監督
評価:★★★★☆/続投可能性:0%
GM(ゼネラルマネージャー)兼任として鹿児島に迎えられた相馬直樹監督。町田ゼルビア、川崎フロンターレ、鹿島アントラーズ、大宮アルディージャなどで指揮を執ってきたが、いずれも解任や成績不振による退任に終わり、その評価は決して高くなかった。しかし2025シーズン鹿児島では、J3トップタイの総得点69を記録する攻撃的スタイルで安定して上位を維持し、5位でプレーオフに進出。準決勝で宮崎に敗れ1年でのJ2復帰は逃したものの、手腕への評価を大きく覆した。
それにもかかわらず、11月20日に今季限りでの退任が発表された。相馬監督は「フットボールそのものではなく、強化を取り巻くマネジメント面での考え方に相違があった」と説明している(南日本新聞)。一方でサポーターの間では、過去に書類送検(不起訴)され代表取締役を辞任した徳重剛氏が、なおクラブに影響力を残している点への抗議ではないかとの見方も広がった。
後任には、いわきFCをJ3初年度で優勝・J2昇格に導いた村主博正監督の就任が決定。J3降格とフロントの不祥事という逆風の中で結果を残した相馬監督兼GMの仕事は、もっと評価されて然るべきだろう。新スタジアム構想も含め、課題が山積する鹿児島においては、監督交代以前にフロント改革こそが最優先事項ではないだろうか。

FC琉球:平川忠亮監督
評価:★★☆☆☆/続投可能性:100%
プロ生活16年のすべてを浦和レッズに捧げた平川忠亮監督のFC琉球就任は、多くのサポーターを驚かせた。J3に降格した2023シーズンは17位、2024シーズンは14位と低迷が続き、クラブ名を「FC琉球OKINAWA」と改めて臨んだ今2025シーズンも、最終的には16位で辛うじて残留となった。
初勝利まで6試合を要したことを考えれば踏みとどまったとも言えるが、総得点41はリーグワースト3位タイで、2桁得点者は不在。FW浅川隼人、FW高木大輔の7得点が最多で、総失点57もワースト4位タイと、攻守両面で課題が露呈した。シーズンを通して連勝は2度のみ。一方で4連敗が2度、3連敗が1度、2連敗が2度と安定感を欠き、「残留で精一杯」という評価が妥当だろう。
それでもクラブは12月5日、平川監督の続投を発表した。続投を決めた以上、来季の百年構想リーグ、そして2025/26シーズンを見据えたオフの戦力強化は不可欠となる。
その編成を担うのが、12月8日に就任が発表された柴村直弥SDだ。国内外14クラブでのプレー経験を持つ柴村氏の手腕が問われる。筆頭株主は“面白法人”を標榜するIT企業のカヤックで、2024年からは同社CEOの柳澤大輔氏が代表取締役社長に就任。今季はJ加盟以来初めてホーム来場者数50万人を突破するなど、クラブを取り巻く環境は上向きつつある。成績と内容の両立によって、“面白クラブ”としての存在感をピッチ上でも示したいところだ。
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