Jリーグ 北海道コンサドーレ札幌

札幌が今季初の3連勝!上位猛追の4つの要因【J2リーグ2025】

高木駿(左)宮大樹(右)写真:Getty Images

2025明治安田J2リーグは、7月6日に第22節までを消化。今シーズン9年ぶりにJ2で戦う北海道コンサドーレ札幌は、開幕4連敗スタートで一時は最下位になるなど苦境に喘いでいた。それでも今年から札幌の指揮官を務めている岩政大樹監督は、3バックから4バックへ変更するなどのシステム変更でチームを再建。開幕時以降の連敗はなく、気づけばトップハーフの9位にまで順位を上げている。

J1昇格プレーオフへの進出ラインである6位までは勝ち点差「6」、J1自動昇格となる2位までは勝ち点差「9」といよいよ昇格争いに食い込んできた。ここでは、J1上位陣を猛追している札幌が復調した4つの理由を紹介していく。


北海道コンサドーレ札幌 写真:Getty Images

1.戦列復帰の高木が魅せた“GP”の役割

出鼻をくじかれる形となったリーグ前半戦は、ベテラン守護神のGK菅野孝憲が9試合、26歳のGK中野小次郎が10試合の割合でゴールマウスを守っていた。

昨シーズンまでは菅野が多く出場しており、今シーズンも開幕直後はスタメン起用されていたが、第4節のジェフユナイテッド千葉戦で、ボールを追っていた千葉のFW林誠道のひざが、ゴール前の浮き球に飛び出した菅野の顔面付近に接触。倒れた菅野はそのまま起き上がれず、担架で搬送されピッチを後にした。その際、途中交代で入った中野がその後の試合でも起用されることが多くなった。

第20節の藤枝MYFC戦(3-1)では、シーズン前半に出場が無かったGK高木駿がスタメンに名を連ねた。昨シーズン開幕直前の練習中に左ひざ前十字靭帯断裂を負った高木は、約1年半ぶりの公式戦となった。

高木はこの試合で好セーブを連発し、3-1と勝利に貢献。翌第21節のロアッソ熊本戦(3-2)、第22節のレノファ山口戦(1-0)でも見事なセーブに加え長短交えた正確なキックで攻撃を活性化させるなど、高木ならではのプレーでチームに勝利をもたらした。

今シーズンから札幌はGKのポジション名をGP(ゴールプレーヤー)と表記している。クラブは表記変更の背景について「攻撃も含めた多岐にわたる役割を求めている為」と説明しているが、高木が早速GPとしてのあるべき姿を体現したと言えよう。

高木の出場後、チームは3連勝を達成している。7月12日に行われる第23節では、ジュビロ磐田と対戦する札幌。昇格争いのライバルとの一戦を勝利で飾ることが出来るのか注目だ。


宮大樹 写真:Getty Images

2.新加入組がもたらした変化

6月に大型補強を敢行した札幌。名古屋グランパスからDF宮大樹を期限付きで、RB大宮アルディージャからDF浦上仁騎、シャペコエンセ(ブラジル)からFWマリオ・セルジオを完全移籍で獲得している。

第19節のFC今治戦では、新加入組の浦上と宮が早速4バックの中央に入った。試合は2-2に終わったが、両名が試合中に見せた頻回なやり取りや、まわりの選手を声で統率する姿など、チームに新風が吹いていた。セットプレーでの失点や自陣からのロストによる失点が多かった札幌にとって、この2名の加入は非常に大きい意味を持つだろう。

練習の雰囲気もガラリと変わった。浦上と宮の声が大きく響いていることはもちろん、それに影響された選手たちも以前より声を出すようになり、練習への姿勢に変化が見られた。


北海道コンサドーレ札幌 写真:Getty Images

3.“スーパーマリオ”の出現

今シーズンのブラジル2部リーグで7試合3ゴールをマークしていたFWマリオは、人生初となる海外移籍に北の大地を選択した。

6月21日に行われた第20節(藤枝MYFC戦)でJリーグデビューを果たすと、翌第21節(ロアッソ熊本戦)では、DFパク・ミンギュからのクロスボールを叩き込む同点弾を決めており、「スーパーマリオ」と呼ばれるほど札幌サポーターの心を掴んでいる。

また、ゴールとはならなかったが、レノファ山口戦でもMF近藤友喜が右サイドのポケットから供給したセンタリングに対し、マリオが触っていればゴール確実というシーンも見られ、「ボックスストライカー」に相応しい動き出しとポジショニングの良さが窺える。山口戦の後半、シュート数が一向に増えなかった札幌だが、マリオ投入後は攻撃が活性化しフィニッシュに繋がる場面が明らかに増えた。

違いを見出せるFWとして、チーム髄一のポテンシャルを感じさせてくれたマリオ。“スーパーマリオ”としてチームをJ1昇格に導くことが期待される。


大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム) 写真:Getty Images

4.西野奨太の覚醒

今シーズンの札幌を語る上で外せないのがDF西野奨太の覚醒ではないだろうか。札幌のアカデミーで育った西野は、高校2年生だった2021シーズンにクラブ史上初となる飛び級でのプロ契約を締結。同年11月にはクラブ史上最年少となる17歳183日でJ1リーグデビューを果たした。

しかし出場機会が限られ、2024シーズンはJ3のカマタマーレ讃岐に期限付きで移籍。シーズン途中の移籍にも関わらず、センターバック(CB)として13試合に出場し、守備の要として活躍した。

札幌に帰還した今シーズン序盤は、讃岐での経験を活かすべくCBで出場する試合が多かったが、最終ラインの連係ミスなどもあり多くの失点に絡んでいた。宮と浦上が加入した6月以降はボランチを主戦場としている西野だが、どこか伸び伸びプレー出来ているように見受けられる。危険と察知したエリアにことごとく顔を出してボールを刈り取るシーンや、高いパス精度で攻撃を展開するなどボランチとしての才能が開花し今やチームに欠かせない存在になっている。試合数と共にレベルアップする21歳が、J1昇格を手繰り寄せるかもしれない。

名前:Yusuke Sueyoshi
趣味:スポーツ観戦(野球、サッカー)、サウナ、ジム
好きなチーム:北海道コンサドーレ札幌、ジェフユナイテッド千葉、FCバルセロナ

私ならではの視点から皆様に情報を発信していきたいと考えておりますので何卒宜しくお願いいたします。

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