
既存選手と新戦力の融合
今年、福岡には東京ヴェルディからMF見木友哉、町田ゼルビアからFW藤本一輝、鹿島アントラーズからMF名古新太郎、大分トリニータからDF安藤智哉らを獲得。彼らは開幕直後からスタメンに名を連ね、見木と安藤はこれまで2ゴール、藤本も第10節の横浜F・マリノス戦で貴重な同点ゴールを記録し、それぞれが主力として活躍している。
一方で既存選手の活躍も見逃せない。福岡屈指のサイドアタッカーであるMF紺野和也はこれまでリーグ戦全10試合(スタメン8、途中出場2)に出場、YBCルヴァンカップでも2得点を挙げている。その他、MF金森健志やFWウェリントン、FWシャハブ・ザヘディ、FWナッシム・ベン・カリファなどの既存選手もチームにとって欠かせない存在だ。
前述の横浜FM戦では、スタメン11人中5人が新加入選手で試合は見木の逆転ゴールで勝利を掴んだ。これまでチームを支えてきた既存選手と新加入選手とが上手く融合することにより良い結果をもたらしていると言えるだろう。

チーム力底上げの鍵
福岡は今季、FWサニブラウン・アブデル・ハナンとFW前田一翔の2名が下部組織よりトップチームに昇格。また福岡大学から加入のDF橋本悠は、3月15日の第6節FC東京戦でJ1デビュー。さらに4月17日に行われたYBCルヴァンカップ2回戦では、来シーズンからの加入が内定し今季は特別指定選手として登録されている宮崎産業経営大学のFW佐藤颯之介がゴールを決めるなど、若手にも期待が持てる逸材が多くいる。
今後、福岡が上位争いを演じるには選手層の底上げが必須であり、彼らのような若い選手の活躍はチームにとって重要な要素のひとつだと言える。リーグ戦のほかカップ戦でも勝ち進むとなれば試合数も増え選手のコンディション調整も重要となる。福岡が本当の意味で強豪クラブとなり、J1上位のみならず近い将来アジアの舞台で戦うためにはチーム全体のさらなる強化が必要だ。その一環として若手選手の活躍が鍵を握る事になるだろう。

「感動と勝ちにこだわる」その先へ
筆者が小学4年生(もしかしたら3年生だったかもしれない)の時に誕生したアビスパ福岡も今年で創設30周年を迎えた。当時、中央防犯FC藤枝ブルックスが静岡県藤枝市からの移転を経て福岡ブルックスと名前を変え、さらに2年後アビスパ福岡へと改名したことは今でも鮮明に覚えている。
数年前に他界した父と共に前身の福岡ブルックス、そして誕生したばかりのアビスパ福岡の試合を見に行ったのは今でも良い思い出だ。あれから30年、偶然にも現在小学4年生の長男はクラブチームでサッカーをしている。
J1での上位争いは簡単なことではない。クラブはスローガンとして「感動と勝ちにこだわる」を掲げている。“5年周期”と言われたJ1での戦いや経営難など数々の歴史とともに歩んできた福岡。クラブの歴史はサポーターの歴史でもある。首位を走る今シーズンはいったいどんな戦いを見せてくれるのか、30周年を迎え勢いに乗る福岡の今後に期待したい。
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