プレミアリーグ アストン・ビラ

アストン・ビラが変貌を遂げた理由とは?

ウナイ・エメリ監督 写真:Getty Images

 今2024/25シーズンのアストン・ビラは、数年前とはまるで別のクラブのようだ。プレミアリーグでの公式戦7連勝、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝進出、FAカップ準決勝進出。

 2022年10月にウナイ・エメリ監督が就任した当時、ビラは得失点差でかろうじて残留圏にいたにすぎなかったが今や欧州の舞台でも勝ち進んでいる。ここまで変貌を遂げた背景には、エメリ監督の手腕がある。

 エメリ監督はビラに就任後、セビージャ時代(2013-2016)に共に成功を収めたモンチ氏をフットボール部門の責任者として迎え、23選手の補強に約2億9,500万ポンド(約559億円)を投じた。売却によって資金のやり繰りをしつつ、純支出は約1,500万ポンド(約28億4,301万円)に抑えた。

 また、エメリ監督はクラブで歴代最高の勝率54%を記録しており、就任以降のプレミアリーグでビラより多く勝点を挙げたクラブは3つしかないとのことだ。

 プレースタイルの転換も大きい。エメリ監督の哲学や指導スタイルに詳しい専門家ギジェム・バラゲ氏によれば、同監督は自身の哲学に適した選手のみを起用し、ポゼッションを重視した計画的なサッカーをクラブに根付かせてきたという。攻守の切り替えに頼る高速展開ではなく、意図のあるパス回しによって試合を支配するスタイルを徹底。こうした戦術はファンにも受け入れられつつある。

 戦術面だけではない。エメリ監督は就任前から選手ごとの分析資料を準備し、試合ごとに対戦相手の映像を各選手に配布するなど、個別指導にも力を入れている。トレーニング施設に夜遅くまで残ることも珍しくなく、その緻密さはチーム内外から評価されているとのことだ。

 ビラがこの先どこまで上り詰められるかは分からないが、試合ごとに着実に歩を進めるエメリ監督とそのチームに、限界を決めつける根拠は今のところ見当たらない。