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北中米W杯での初出場が期待できる隠れた強豪国5選

サロモン・ロンドン 写真:Getty Images

ベネズエラ(FIFAランキング47位)南米予選

W杯南米予選の出場枠は「4.5」から「6.5」となった。前回王者のアルゼンチン代表はいち早く本大会出場を決め、ベネズエラ代表はプレーオフ圏の6位コロンビア代表との勝ち点差「5」の7位につけている。

ベネズエラは南米サッカー連盟(CONMEBOL)に所属する10か国のうち唯一、W杯本大会出場経験がない国だ。前述のフィンランドを超える24度目の挑戦で、初の本大会出場を目指している。

2010年の南アフリカW杯予選では過去最高の6位に入ったが、出場枠が「4.5」だったため、上位4チーム(ブラジル、チリ、アルゼンチン、パラグアイ)が出場権を獲得し、5位のウルグアイ代表が大陸間プレーオフへ。ベネズエラは惜しくも敗退となった。

メキシコリーガMXで得点王となった初のベネズエラ人FWサロモン・ロンドンは、近年代表の最多得点記録を持ち、所属のCFパチューカでは昨2023/24シーズン得点王のタイトルを獲得。他にも、2018シーズンにアトランタ・ユナイテッドでMLS得点王の勲章を手にし、現在サンノゼ・アースクエイクスで活躍するFWヨセフ・マルティネスなどの海外組が台頭し、国内リーグ(プリメーラ・ディビシオン)も成長している。

以前までは“野球の国”という印象で、サッカーに関してはアウトサイダーと見なされてきたベネズエラだが、今では他の南米諸国にとって侮れない相手となった。2011年と2019年の南米選手権ではベスト8進出を果たすなど、着実に結果を残している。10か国参加とはいえ群雄割拠の南米予選だが、ベネズエラにとっては千載一遇のチャンスだ。


ニューカレドニア代表 写真:Getty Images

ニューカレドニア(FIFAランキング152位)オセアニア予選

オセアニア予選ではニュージーランド代表が4大会ぶり3度目の本大会出場を早々に決めたが、オセアニア枠が「0.5」から「1.5」となったことで、代表決定戦で敗れプレーオフに回ったニューカレドニア代表も不気味な存在だ。

これまでオセアニア地域からW杯に出場した国はニュージーランドと、2005年にアジアサッカー連盟(AFC)に転籍したオーストラリアのみ。ニュージーランドがFIFAランキング89位で、ニューカレドニアは152位。これだけ見れば“低レベル”と見られそうだが、そこに落とし穴が待っているのではないか。仮にニューカレドニアが本大会初出場を決めれば、W杯史上最もFIFAランキングが低いチームとなる(現在の記録は2010年南アフリカ大会に出場した北朝鮮代表の105位)。

ニューカレドニアは現在でもフランス領で、有能な選手がいればフランス代表に選出されてしまう。その代表格が、1998年のフランス大会で開催国Vを成し遂げた元フランス代表MFクリスティアン・カランブー(現オリンピアコス、スポーティングディレクター)だ。

そもそも1928年設立のニューカレドニアサッカー連盟がFIFA(国際サッカー連盟)とOFC(オセアニアサッカー連盟)に加盟したのは2004年のこと。ニューカレドニアはOFCネーションズカップでは2度の準優勝(2008、2012)という結果を残し、ヨハン・シダネル現監督を含め、代々フランス人指揮官によって強化が進められている。

今北中米W杯では、大陸間プレーオフのレギュレーションも変わった。北中米カリブ海から2か国、アジア、アフリカ、南米、オセアニアからそれぞれ1か国が出場し、 FIFAランキングに基づいた上位2チームがシードされた上で、2026年3月に開催国(アメリカ、カナダ、メキシコのいずれか)で一発勝負のトーナメントが行われ、勝ち進んだ2か国が出場権を得られる。

オセアニア予選決勝ではニュージーランドに0-3で完敗したニューカレドニアだが、大陸間プレーオフの組み合わせが直前まで分からない上、“未知のチーム”とあってスカウティングは困難を極めるだろう。そこに隙が生まれればニューカレドニアにもチャンスが訪れる可能性が生まれる。しかもホーム&アウェイではなく中立地でのトーナメント戦だ。何が起きるか分からないプレーオフとなること必至だろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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