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北中米W杯での初出場が期待できる隠れた強豪国5選

テーム・プッキ(左)サロモン・ロンドン(右)写真:Getty Images

日本代表が世界最速で本大会出場を決めた2026FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会(アメリカ・メキシコ・カナダ)。今大会から参加国数が32か国から48か国に増加し、アジア枠が「4.5」から「8」となった。

これにより日本の独走となったアジア最終予選グループCの他国(オーストラリア、サウジアラビア、インドネシア、バーレーン、中国)は団子状態となり、最下位の中国代表にもまだプレーオフ進出のチャンスが残されている。

ここでは、実力はあるにもかかわらずW杯本大会出場の経験がなく、出場枠が増えたことで遂に悲願に手が届きそうな状況にある5か国を挙げ、各大陸の最終予選や大陸間プレーオフを展望したい。


バーレーン代表 写真:Getty Images

バーレーン(FIFAランキング81位)アジア予選

3月20日に日本と対戦したバーレーン代表は、敗れたものの粘り強くタイトな守備で日本を大いに苦しめた(埼玉スタジアム2002/0-2)。通算対戦成績は日本の11勝2敗(27得点8失点)だが、2004年8月のアジアカップ予選から2009年3月の南アフリカW杯アジア予選までの8試合は、全て1点差試合だ。

日本が相手となると常に激闘を繰り広げるバーレーンに、W杯本大会出場の経験は未だにない。2006年のドイツW杯予選では、大陸間プレーオフに進出でトリニダード・トバゴ代表に2試合合計1-2で敗れ、2010年南アフリカW杯予選でも再び大陸間プレーオフでニュージーランド代表に2試合合計0-1で敗れ、あと一歩のところで本大会出場を逃し続けている。

バーレーンは、今アジア最終予選8試合終了時点でグループCの5位となっているが、ホームでの残り2試合(6月5日サウジアラビア戦、6月10日中国戦)の結果次第では、逆転でのプレーオフ進出も大いにあり得る状況だ。


ウズベキスタン代表 写真:Getty Images

ウズベキスタン(FIFAランキング58位)アジア予選

ウズベキスタン代表は、既に中央アジアの勇と評価されている強豪だ。1991年のソ連崩壊に伴い1992年に独立。アジアサッカー連盟(AFC)に加盟し、W杯アジア予選には1994年のフランス大会時から参加しているが、これまで本大会出場には至っていない。最も本大会出場に近付いたのは2006年のドイツW杯予選で、大陸間プレーオフ進出を賭けたプレーオフでバーレーンに敗れた。

今アジア最終予選では、グループAでイラン代表に次ぐ2位につけており、3位のUAE代表との勝ち点差は4であることから、初出場の絶好のチャンスだ。AFCアジアカップでも安定して上位進出(最高成績ベスト8)しており、FIFAランキングでは日本(15位)、イラン(18位)、韓国(23位)、オーストラリア(56位)、イラク(56位)に次ぐアジア6位に位置している。

ウズベキスタンは国内リーグ(ウズベキスタン・スーパーリーグ)が整備され、中でもパフタコール・タシュケントはACLE(AFCチャンピオンズリーグエリート)ではベスト16に進出した。さらに、アンダー世代の代表チームも強力で、2023AFC U-20アジアカップ中国大会で優勝し、2023FIFA U-20W杯アルゼンチン大会ではグループリーグを2位突破しベスト16に進出、2024年のパリ五輪にも出場した。

しかし、A代表は日本、韓国、イラン、オーストラリアといった常連国の壁を乗り越えられないでいる。国民の悲願であるW杯初出場が現実のものとなれば、ウズベク人、タジク人、カザフ人、カラカルパク人、キルギス人、ウイグル人、ドゥンガン人、ロシア人などで構成される多民族国家の強みを生かし、いい意味でアジアらしくない欧州的なサッカーを披露してくれるのではないかという期待感もある。


テーム・プッキ 写真:Getty Images

フィンランド(FIFAランキング69位)欧州予選

フィンランド代表は、2021年のUEFA欧州選手権ドイツ大会(ユーロ2020)において同大会初出場を果たし(グループリーグ3位敗退)、グループリーグ第2戦は敵地でデンマーク代表を倒した(コペンハーゲン・パルケン・スタディオン/1-0)。この大会初勝利を挙げた勢いで、W杯初出場を虎視眈々と狙っている。

今北中米W杯欧州予選では、同組にオランダ代表とポーランド代表が同居する“死の枠”に入ってしまった。しかし、欧州枠が「13」から「16」となったことで、グループ2位に滑り込めばプレーオフ経由での本大会出場がグッと近付いてくる。

背番号10を背負うのはアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)で活躍し、フィンランド代表の歴代最多得点記録を持つFWテーム・プッキ(ミネソタ・ユナイテッド)。3月22日に開幕した欧州予選の初戦では、敵地でマルタ代表を1-0で破り、続く24日に行われた第2戦のリトアニア代表戦はこれも敵地で2-2で引き分け、1938年のフランスW杯予選から実に“23度目の正直”へ向けて上々のスタートを切った。

国内リーグである「ヴェイッカウスリーガ」には、元U-20日本代表MF田中亜土夢が所属する欧州カップ戦の常連で、今季もUEFAカンファレンスリーグ(UECL)に出場したHJKヘルシンキをはじめ、育成に力を入れるクラブが多く、近年は選手の海外進出も増え代表チームの強化に繋がっている。W杯未出場国ながら、北欧の“隠れた強豪”とも言える存在になりつつある。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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