
天才肌、興梠慎三の存在
ーJリーガー時代に最も印象的だった選手を教えてください。
高木:1人ですか?(笑)1人となると(興梠)慎三さんですかね。ちょっと別格ですし、持っているものが違う。
ー本能的な巧さを兼ね備えていますよね。
高木:はい。そう言ってしまうとそれ以上ないんですけど、正直何でもできてしまうんで、一緒にプレーしていてものすごくやりやすかったですね。慎三さんはFWなので始めはもう少しガツガツ点取りに行く貪欲な選手なのかなと思っていたんですが、結構味方にパスを出してくれたりと何でもできちゃいますよね。後は言い方が少し悪いですけど、8割くらいの力で常に脱力してサッカーをやっているような感じでしたね(笑)。特に普段ハードなトレーニングをしているわけではないんですけど、しっかり結果を残せるので、いわゆる天才って本当にいるんだなと感じました。

東京ユナイテッド加入に至るまで
ー昨年末のトライアウトから多くのオファーがあったと思いますが、その中で東京ユナイテッドを選んだ決め手を教えてください。
高木:ありがたいことにJ3のチームからもオファーをいただいたんですけど、僕のサッカーキャリアの中でこの先の生活を考えた時に、いちサッカー選手として「あと何年ベストな状態でプレーできるのかな」と思いました。選択肢として社会人リーグを考え始めたときに、今のユナイテッドのチームメートの香西克哉(東京V下部組織時代に共にプレー)から連絡をもらって「福田(雅)監督と話だけでもしてみたら?」と言われました。
実際に福田さんと次のキャリアで思い描いているサッカー以外の部分を話したところ、すごく理解を示してくれました。自分としては社会人としてやってみたい仕事をしつつ、サッカーでもしっかり上を目指せるチームでプレーしたいなと思いユナイテッドに決めました。
ー実際に加入されて1か月が経ちますが、プロ時代と比べてどのような違いがありますか?
高木:みんな仕事しながらプレーしているので、朝6時半からの練習があったり、仕事が終わってから夜に練習があったりと時間帯の違いは大きいですかね。あと、プロ時代は当たり前のようにサッカーをしている感覚で16年やらせていただきましたが、(練習や試合も)小石川運動場だったり、スポンサーの方々に力をお借りして用意していただいている部分や、遠征にも自分たちでお金を出したり交通費を払ったり、サッカーをするのにお金を使う。そういうところは改めて考えさせられましたね。

新たな環境での挑戦
ー今年からサッカーと仕事を両立しながらの生活になると思いますが、差し支えなければ具体的にどのような仕事に就くのか教えていただけますか?
高木:JR水道橋駅から徒歩約5分のところに新しくできる『元町ウェルネスパーク』(東京都文京区)という施設で東京ユナイテッドがスポーツ事業を展開することになりました。その中で自分は女子サッカーのスクールと知的障害を持つ子どもたちのサッカースクール、デフサッカー(※)のスクールにコーチとして従事します。その中でも特にデフサッカーにすごく興味や関心を抱いているので力を入れていきたいと思っています。自分たちのスクールからデフサッカー日本代表を輩出できるような環境を作っていきたいです。
※聴覚障がいのある選手がプレーするサッカー競技

「プレーで引っ張って自分の存在を示したい」
ー東京ユナイテッドではどのような役割を担っていきたいですか?
高木:チームを引っ張りたいなと。自分の持っている経験というのは間違いなく活かせると思いますし、自分は言葉を掛けたりとかチームを鼓舞する声掛けはあまり得意な方ではないので(笑)、そういう形ではないかもしれないですが、プレーで引っ張って自分の存在を示して行けたら良いのかなと思います。
ー今年の意気込みを教えてください。
高木:チームとしても掲げている「日本一、一択」を達成させたいです。やるからには目の前の試合は絶対に勝ちたいですし、ひとつひとつ勝って最終的に日本一、そしてJFL(日本フットボールリーグ)昇格を達成出来ればと思います。
ー最後にファンやサポーターの方々にメッセージをお願いします。
高木:とにかく試合を観に来てほしいですね。プレーヤーである以上、人が観に来てくれる中でプレーする喜びがあるので、できるだけ観に来てくれると嬉しいです。
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