
北海道コンサドーレ札幌の現状
岩政大樹氏が新監督となった札幌だが、ここまでは苦しい戦いが続いている。開幕戦では大分トリニータに0-2、第2節はロアッソ熊本に0-3と1点も奪えずに2連敗。ミハイロ・ペトロヴィッチ前監督が築き上げた攻撃的なスタイルをさらに進化させるはずが、攻守ともに結果が付いてこない。
それでも大分戦ではやりたいことは伝わった。ボールを握りピッチ上を支配する。狙いは明確だったものの、守備を固めた相手を崩すだけの連動性は現時点ではない。ボールを保持していた割にシュートに至る回数は少なく、後半はハーフタイムに修正した大分に持ち直されてしまう。積極的な選手交代で打開を図ったが、セットプレーから失点を喫して敗れた。続く熊本戦では開幕戦からスタメン6人を変更し状況の一新を図ったが、ゴール前での精度で下回り完敗。相手が異なるにせよ、内容的には大分戦から後退を感じてしまうようなゲームだった。
昨季までの主力の流出は比較的抑えられたものの、チームとしての核が明確でなく不調時に立ち返る場所もまだない。J2にはくせ者のチームが多く、自分たちのサッカーを高めるだけでなく相手の良さを消す工夫も必要となるだろう。

磐田と鳥栖・札幌の違いとは
昨季J1からの降格となった3クラブは、事情は違えどいずれも監督が交代となった。そのため、監督を継続したクラブとは序盤戦の完成度で差があるのは致し方ない。その中でどれだけ勝ち点を拾いつつ、順を追ってチーム作りを進められるかが求められる。すでに出来上がっている選手間の連携を役立てたり、個々の特長を発揮させ個の力で勝利をもぎ取ったりすることも必要だ。
その点ではここまで、磐田のハッチンソン監督に分があったと言えるだろう。昨季の主力が多く残っているという強みはあるにせよ、FW佐藤凌我の運動量やMFクルークスの推進力とキック精度など、新戦力の個性を強みに勝ち点を積んでいる。
一方の鳥栖と札幌は一定の個を有しているはずが、チームにはめ込むなかで特長を発揮できているとは言い難い。また、起用法にも違いがある。磐田は勝てている影響もあるとはいえ、第1節と第2節は全く同じスタメンだ。戦術の浸透も進むだろう。鳥栖は磐田と同様に守備の整備を急ぎ、第1節と第2節でスタメンの変更は2人に抑えた。だが、昨季からあまりにチームが変わってしまった影響で連動性が欠けている。
札幌は主力の入れ替えは抑えられたものの、岩政監督の思い切った選手起用がここまでは裏目に出ているように思えてならない。また、サッカーは攻守が繋がっているため「良い攻撃は良い守備から」という先人の格言を守ることで、磐田のように勝ちながら戦術の浸透を図ることが可能になるのではないだろうか。
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