
2025明治安田J1リーグ第2節の全10試合が、2月22日と23日に各地で行われた。湘南ベルマーレは22日、敵地ヨドコウ桜スタジアムにてセレッソ大阪と対戦。最終スコア2-1で勝利している。
前身のベルマーレ平塚時代(※)以来となる、27年ぶりのJ1リーグ開幕連勝スタートを飾った湘南。2021シーズン途中にコーチから昇格した山口智監督のもとで、2023シーズンや昨シーズン序盤に極度の成績不振に陥ったが、戦い方の試行錯誤がここに来て実を結んでいる。
湘南の好調の理由や、2025シーズンを上位で終えるために突き詰めるべき課題は何か。ここではC大阪戦を振り返るとともに、この2点を中心に論評していく。
(※)当時のJリーグは2部制導入前。

試合序盤に見えた湘南の課題
この試合における両クラブの基本布陣は、C大阪が[4-2-3-1]で湘南が[3-1-4-2]。C大阪のセンターバックからボランチへのパスコースを塞ぎ、パス回しをサイドへ追いやるという湘南陣営の意図が、試合序盤から窺えた。
湘南は福田翔生と鈴木章斗の両FW、及びMF平岡大陽を起点に守備を行ったものの、前半4分にはC大阪のDF進藤亮佑からDF奥田勇斗(センターバックからサイドバック)、奥田からMF香川真司へのパスが繋がってしまっている。最終的には逆サイドへボールを運ばれた。

このシーンではC大阪のFW北野颯太(トップ下)が味方2センターバック間に降りてボールを保持したため、湘南としては対応が難しかったが、福田と鈴木章斗のプレスでC大阪のパス回しをサイドへ誘導したうえで、香川には平岡が付く構図を作りたかったところ。C大阪の右サイドバック奥田に湘南DF畑大雅と平岡の2人が寄せたため、ボランチの香川がフリーになってしまった。
相手センターバックからサイドバックへボールが渡った際に、相手のボランチを誰が捕まえるのか。これが曖昧になるケースが昨シーズンの湘南から散見されており、今季序盤にもこの課題が浮き彫りになっている。この問題が致命傷とならないうちに、早急に改善したいところだ。

湘南の守備が良くなったきっかけは
C大阪の右サイドバック奥田がタッチライン際から内側へポジションを移すことで、湘南のウイングバック畑がここへ寄せられない展開が生まれていたものの、前半10分すぎより奥田がタッチライン際でビルドアップ(最終ラインからのパス回し)に関わるように。これが湘南にとって好都合となり、守備の段取りが整理されるきっかけとなった。
前半11分には、福田と鈴木章斗がC大阪の2ボランチ(香川とMF田中駿汰)へのパスコースを塞ぐと同時に、平岡が相手センターバック進藤に寄せる。これにより進藤からサイドバック奥田への横パスを誘発すると、畑がすかさず奥田にプレスをかけている。福田と鈴木章斗、そして平岡の守備の役割が明確になってからは、湘南の最前線からの守備(ハイプレス)が機能し始めた。

ただ、C大阪のゴールキックで再開された前半28分にも、自陣後方タッチライン際でボールを受けた奥田に平岡と畑の2人が寄せてしまったため、進藤がフリーに。その後田中駿汰のバックパスを受けた進藤、GKキム・ジンヒョン、DF舩木翔、北野の順でボールが渡り、湘南はC大阪の速攻を浴びている。ここでは平岡が進藤を捕捉し、GKへのバックパスや逆サイドへのパスを許さない構図を作りたかった。
C大阪の悪い攻撃配置に乗じて守備を立て直せたのは良かったが、個々の役割が不明瞭なシーンがあったことも確か。これこそ湘南が今季を上位で終えるために突き詰めるべき課題であり、伸び代だ。
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