
2024/25シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)はベスト16が決定し、MF遠藤航が所属するリバプール(イングランド)、DF冨安健洋が所属するアーセナル(イングランド)、DF伊藤洋輝が所属するバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、FW上田綺世が所属するフェイエノールト(オランダ)など、日本代表選手が所属するクラブが複数残っている。しかし、この中にはチームの中心としてプレーできている日本人選手は、ほぼいないのが現状だ。
CLでの過去日本人選手の最高成績といえば、元日本代表DFの内田篤人(2020年引退)が、2010/11シーズンに当時シャルケ(ドイツ)でベスト4に進出した。内田はレギュラーとして試合に出場しCLの舞台でも確かな存在感を示していた。
チームの成績次第では、日本人選手が再びCLのベスト4や決勝の舞台に立つ可能性もあるが、そのためには個々の選手がチーム内での立場をさらに強固なものにする必要がある。
近年、日本代表のレベルは確実に上がり、欧州のクラブでプレーする選手も増えているが、各国のリーグやCLの舞台で主力として活躍するにはさらなる壁を越える必要があるだろう。ここでは、各選手の現状とチーム内での立場に見受けられる課題について考察してみたい。

遠藤航(リバプール)
2023年8月にシュツットガルト(ドイツ)からリバプールへ完全移籍したMF遠藤航。移籍初年度の2023/24シーズンはユルゲン・クロップ前監督から重宝され起用されていたが、今2024/25シーズンアルネ・スロット監督の元では出場機会が激減した。
プレミアリーグでは一度も先発出場がなく、試合終盤のクローザー役が中心となっている。格下チーム相手のカラバオカップやFAカップなどでは先発の機会もあるが、明らかにプレー面で信頼を得ているとはいいがたい。
その主な理由は、クロップ前監督とスロット監督の戦術の違いが挙げられるだろう。クロップ前監督は「ゲーゲンプレス」と呼ばれる高い位置でのプレッシングで相手ボールを即時奪回を重視し、素早い攻守の切り替えと縦への速攻を特徴としていた。その中で遠藤のボール奪取能力やデュエルの強さが重宝されたのは言うまでもないだろう。
一方でスロット監督はボールポゼッションを重視し、より長くボールを保持することで試合を支配するスタイルを採用しており、中盤の選手には前への突進力やパスセンス、攻撃的な能力が高く要求されている。
しかし、遠藤は32歳という年齢的にも、キャリアのこの段階でプレースタイルを変える必要性は難しいことから、スロット監督下のリバプールに留まる限りは現状の役割を受け入れて、いつか必ず訪れるであろう大舞台でのチャンスを待つのが賢明な判断だろう。

冨安健洋(アーセナル)
もし、DF冨安健洋が怪我をしていなかったら、間違いなくアーセナルで今シーズンの主役になっていたのではないかと思わされる。プロの世界に“たられば”は禁物だが、彼の高い技術とサッカーIQを踏まえた実力を考えれば当然誰もが思うことではないだろうか。
冨安は2023年に右ひざの手術を受け、長期離脱を余儀なくされた。復活が期待された2024/25シーズンも開幕前に右ひざを再び負傷。プレミアリーグ第7節サウサンプトン戦(3-1)でシーズン初出場を果たしたが、わずか6分間の出場にとどまり、その後再び離脱を強いられた。2025年2月には右ひざの再手術を受けたことを自身のインスタグラムで報告し、現在は復帰に向けてリハビリを進めている。
アーセナルは声明の中で、冨安の現在のリハビリプログラムが「今年の終わり頃に完了する見込み」と発表しており、次の出場までに最後の試合から12か月以上の期間が空く可能性がある。
そうなると気になるのがもちろん試合勘だ。いくら冨安とはいえ、この長い期間試合に出れないとなると、さすがに本来の実力を発揮するまでには相当の時間を要するのではないだろうか。今はただ、予想より早く彼が回復してくれることを願うしかなさそうだ。
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