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元Jリーガーも逮捕。大麻とサッカー選手の“切っても切れない関係”とは

フェアー・モービー 写真:Getty Images

1月24日に横浜税関は、2014-2015年に当時J3のSC相模原に在籍し、現在アメリカ2部(USLチャンピオンシップ)モントレー・ベイに所属するDFフェアー・モービー(30歳)を、関税法違反(輸入未遂)の疑いで横浜地検に告発した。

モービーはニューヨーク生まれでアメリカとスイスの二重国籍だが、父はスイス人、母は日本人で7歳の時に東京都東久留米市に移住。東京ヴェルディユースや、スイスのFCバーゼルU-21で経験を積み、2011年のFIFA U-17W杯ではアメリカ代表にも選出された。2013シーズン、出場はならなかったもののMLS(メジャーリーグサッカー)ポートランド・ティンバーズに加入し、翌2014シーズン当時J3のSC相模原に移籍。2シーズンで59試合3得点の成績を残すも2016年1月に退団。ベトナム1部(Vリーグ1)の名門ホアンアイン・ザライ(2016-2018)を経て、2022シーズンからモントレー・ベイで活躍していた。

告発容疑は、知人を共謀して2022年1月、米国から国際小包郵便物で大麻リキッド4本(計約2.8グラム)を輸入しようとしたとしている。モービーによる罪の認否は明らかにされていない。大麻リキッド4本はプラスチック製の制汗剤の容器1個に隠匿されていたが、同税関川崎外郵出張所の検査で発見された。同税関は自己使用目的だったとみて調べている。神奈川県警は今年1月、モービーを改正前の大麻取締法違反(輸入)の疑いで逮捕していた。

モービーはアメリカのチームに在籍していたものの、報道では「東京都三鷹市在住」とされており、アメリカとスイスの二重国籍ながらも拠点は日本だったとみられる。ここでは、大麻とサッカー選手の“切っても切れない関係”について考察したい。


オランダのコーヒーショップ 写真:Getty Images

「大麻は海外では合法」の勘違い

まず大前提として、大麻によって逮捕された容疑者が決まって口にする「大麻は海外では合法」などといった詭弁は全くのデタラメであることを強調しておきたい。国連による「麻薬単一条約」は、特定の医療目的以外での嗜好品としての使用を禁止し、ほぼ全ての国連加盟国がそれを批准しているからだ。

中国、シンガポール、イラン、サウジアラビアといった国においては麻薬売買や所持、使用は死刑に至る大罪だ。2010年の中国では、麻薬密輸の罪で日本人4人が死刑に処された。

例えばオランダでは「Coffee Shop(コーヒーショップ)」なる看板を出し、街中で堂々と営業している店に、観光客が喫茶店と勘違いして入ってみたら、スーツ姿のビジネスマンがスパスパと大麻を吸っては出ていくという驚きの光景が見られる。

この事実によって「オランダでは大麻は合法」と誤解されているが、非犯罪化はされていても合法ではない。コーヒーショップの営業も政府の厳重な管理下に置かれている。もちろん、大麻の店外への持ち出しや所持、大麻を吸った状態での自動車の運転などは違法だ。

50州のうち34州が医療目的での利用を、24州が娯楽目的での利用を合法化しているアメリカでも、連邦レベルでは違法。カナダやウルグアイ、タイといった嗜好目的での使用を一部合法化した国も一緒だ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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