12月22日、栃木県のさくらスタジアムで行われた全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)準々決勝で、関東地区第1代表の明治大学と関東地区第2代表の筑波大学が対戦した。延長戦の末0-0で120分を終え、PK戦(5-4)の結果、明大が勝利。4強に進出した明大は、12月25日の準決勝で新潟医療福祉大学と激突する。
明大は、同大会決勝ラウンドで1勝2引き分け(鹿屋体育大戦0-0、大阪学院大戦2-0、関西学院大戦0-0)と、3試合クリーンシートながらも得点力不足に陥りAグループ2位となったことで、Cグループ2勝1引き分けで1位突破した筑波大と相まみえた。2024シーズンの関東大学リーグ1部では、史上初の22戦無敗(勝ち点52)を成し遂げ、2位の筑波大(勝ち点49)を振り切って優勝を手にしている。ちなみに3位の東洋大学の勝ち点が36だったことから、その“2強”ぶりが伺える。
ここでは明大サッカー部の強さの源に迫る。
インカレ出場のJリーグ内定選手たち
インカレ準々決勝では、両チーム合わせてJリーグ内定選手10人(明大6人、筑波大4人)がスタメン出場した。この段階で対戦するには少々もったいないと感じさせるカードとなった。
明大は、FW半代将都(ロアッソ熊本内定)、MF加藤玄(3年=名古屋グランパス内定)、MF角昂志郎(ジュビロ磐田内定)、主将のDF福井啓太(RB大宮アルディージャ内定)らを擁する筑波大にポゼッションで上回られ攻め込まれるシーンが多い中、GK上林豪(セレッソ大阪内定)、DF内田陽介(東京ヴェルディ内定)、DF永田倖大(京都サンガFC内定)を中心とした守備陣が踏ん張り終盤まで我慢比べが続き、試合は延長戦、そしてPK戦に突入。筑波大の1人目FW内野航太郎のPKを上林が左に飛んでストップ。これに対し、明大は5人全員がPKを決め、紙一重の勝負をモノにした。
これで大会を通じて全4試合連続無失点の明大。一方で、ここまで全2ゴールと得点力不足が課題だが、主将を務め、背番号10を背負うFW中村草太(サンフレッチェ広島内定)や、FW熊取谷一星(東京ヴェルディ内定)、副将でFC東京U-23時代の2019年、Jリーグ・アンダー22選抜の一員としてJ3リーグ戦に出場経験のあるMF常盤亨太(FC東京内定)ら、タレント揃いの攻撃陣の爆発が待たれる。
現役プロ選手輩出数最多の明大
明大サッカー部は栗田大輔監督の下、約60人の部員で活動している。部員3桁が当たり前の強豪大学の中ではやや少ない印象(筑波大の部員数は約160人)だが、65人にも上る現役プロ選手を輩出しており、その数はもちろん日本一だ。
Jリーガーのみならず、セリエAを皮切りに欧州(トルコ、フランス)を渡り歩き、38歳となった今でも日本代表に名を連ねるDF長友佑都(FC東京)を筆頭に、ブンデスリーガ2部ハノーファー96に所属する元日本代表DF室屋成や、Jリーグを経ずにブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンに加入したFW佐藤恵允も明大出身だ。
栗田監督にプロ経験はないが、サッカーでも進学実績でも名門として知られる静岡県立清水東高校出身で、1学年下には相馬直樹氏(来季から鹿児島ユナイテッド監督兼GM)、2学年下には野々村芳和氏(現Jリーグチェアマン)などと切磋琢磨していた。全国高校サッカー出場はならなかったが、明大に進学してサッカー部に入部。卒業後は清水建設に入社した。
明大で長く監督を務め、当時J3のグルージャ盛岡も指揮した神川明彦前監督(現なでしこリーグ・スフィーダ世田谷監督)がユニバーシアード日本代表に就任したことで、2013年にコーチ、2014年は助監督を務めていた栗田氏が、2015年に後任として監督に就任。当時、既に勤務先の清水建設では提案営業部長の職にあったが、社業と指導者を兼任する“サラリーマン監督”だった(後の2022年には清水建設を退社し、「株式会社フットランド」を設立、自ら代表取締役となる)。
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