想像力あふれるビジョンで攻撃を構築
モドリッチは小柄なため狭い所でも股抜きするなど細かいパスやボール捌きがうまいが、その瞬間にも遠くが見えていて、狭い所から小さなモーションで急にロングパスを出すことができるのが凄い。ピッチのどこにいてどんな体勢でも、決定的なパスが飛んでくるので相手は安心していられない。
モドリッチはサッカーIQが高く、空間認知能力に優れる。常にピッチ上で何が起こっているのかつぶさに観察し、まるで上空を飛ぶドローンの映像と接続し頭の中でデジタルツインをリアルタイムで更新しているかのような精密さで把握している。俯瞰するように状況を深く理解しているからこそ、プレーのその先の読みが早く的確なのだ。
いつ誰がどこにいるかを分かっているので、パスだけではなくボールを触らずにスルーすることもある。また、ボールを触らずして体の動きや目線で逆をとって相手を交わすこともある。ボール捌きが巧みなら、ボールを触らない動きも巧みだ。
セットプレーのプレースキッカー、ボールの軌道をイメージ
一方、小柄なためゴール前の空中戦で相手と身体をぶつけて競り合うのにはあまり向かない。しかしプレースキッカーとして優れ、しっかりとセットプレーの居場所を見つけている。いつどこにボールを蹴れば、味方選手に合うかというシミュレーションを行い、そこにピンポイントでボールを届ける技術力が伴っている。
モドリッチはプレースキックをした後に、身を乗り出して目でボールを追う。これは、ボールが飛んでいって味方につながる軌道を脳内でイメージしているため、それが体の動きにも表出しているのだ。
研ぎ澄まされた守備の読み
接触プレーにおいては、アメフトのように真正面から体当りしたら不利だが、身体がぶつかる状況になる前にもう勝負を決めているモドリッチ。重要なポイントにいち早く入るため、小柄な外見とは乖離した守備力を発揮する。
駆け引きと読みに優れるため一歩目が早く、インターセプトやタックルに入るタイミングが早い。相手にぶつかる前にもう次の展開が頭にあり、ボールを奪うなり、あわよくばそのまま攻撃に転じる。
中盤のユーティリティプレーヤー
モドリッチの洞察力と状況判断力は天賦の才だろう。中盤のどこでもプレー可能だが小柄なため、ヘディングが多くなるアンカーではなくインサイドMFやサイドMFに配置されることもある。少し前掛かりのポジションのほうが攻撃力が活きるというものだ。
ドリブルよし、パスよし、シュートよし、そして守備よし。ポリバレントなミッドフィルダーということができるだろう。
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