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サポーター文化に新風を吹き込んだJFLクリアソン新宿の挑戦

クリアソン新宿 写真:Getty Images

11月11日、JFL(日本フットボールリーグ)第28節が行われ、15位のクリアソン新宿が“ホーム”国立競技場に12位のアトレチコ鈴鹿を迎えた。クリアソン新宿は0-3で破れ降格圏脱出はならなかったが、このままの順位でリーグ戦が終わったとしても、現在開催中の全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)の2位チームとの入れ替え戦に回ることになり、JFL残留の可能性は十分に残されている。

クリアソン新宿にとって、6月7日の第11節ティアモ枚方戦(1-4で敗戦)以来となる国立競技場開催のホームゲーム。カズこと三浦知良を擁する鈴鹿(カズはベンチ外)を迎えて開催された同試合の様子を、クラブ史や特徴的な試みと合わせて紹介したい。


クリアソン新宿VS―アトレチコ鈴鹿前の花束贈呈式 写真:Getty Images

クリアソン新宿の現在地

東京都新宿区を本拠地とするクリアソン新宿。その歴史は2005年、大学体育会生向けを中心としたキャリア支援事業や人事コンサルティング、スポーツ・アスリートを通じたイベント・研修事業をも行う「株式会社Criacao」の代表取締役社長を務める丸山和大氏が立教大学4年次に、サッカー同好会として立ち上げたクラブが基となっている。

伊藤忠商事に就職した丸山氏が、「Jリーガーになれなかった社会人が本気でサッカーを続ける場を作りたい」という動機で結成され、2009年に東京都社会人リーグに参入し、2013年には法人化。徐々にカテゴリーを上げ、2022シーズンからJFLに参入。初年度は15位、翌2023シーズンは11位となった。

そして今2024シーズンは、第27節終了時点で15位と厳しい戦いを強いられているが、例え最下位の16位に終わったとしても、ソニー仙台の解散によって地域リーグへの自動降格とはならず、全国地域サッカーチャンピオンズリーグ(地域CL)2位クラブとの入れ替え戦を戦うことになる。

クラブの誕生から現在に至るまで歩んできた道は平坦ではないが、社長の丸山氏は、単なる一サッカークラブとしての位置付けを良しとせず、地域コミュニティーとの交流を徹底し、サッカー教室の開催や清掃活動への参加など幅広い社会貢献活動を積極的に行うことで、ホームタウンである新宿の活性化に寄与している。

サポーターは単なるファンとしてではなく「共に地域を盛り上げる仲間」としてクラブと関わっているのだ。ホームスタジアムを持たないながらも「特例」としてJ3ライセンスを付与されたのも、こうした活動が認められた結果とも言えるだろう。


国立競技場 写真:Getty Images

試合前には「応援レクチャー」

そして11日に国立競技場で開催された鈴鹿戦。Jリーグ好きであれば、ユニフォームや場内の広告ビジョンを見て、どんなスポンサーが付いているのかも気になるもの。

クリアソン新宿の場合、胸スポンサーには新宿に本社を構える不動産販売事業のアセットリードをメインに、背中には新宿に本店がある伊勢丹百貨店のロゴが入り、他にもパートナー企業として京王百貨店や新宿髙島屋、丸井、ルミネエストといった新宿を代表するデパート、新宿に本店を構えレトロなCMが印象的な菓子メーカーの文明堂などが広告を掲出し、地域密着型クラブとして新宿の地にしっかりと根を張っていることを印象付けられる。

他クラブにはない特徴として、応援をクラブ主導で行い、応援コールの文言やタイミングまで示している。試合前には「応援レクチャー」も行われる徹底ぶりだ。

その反面、お願いベースではあるものの、相手クラブや選手に対するヤジやブーイングを事実上、禁止している(当然、自クラブに対しても)。実際、サポーター席には「観戦ルール」として掲示され、違反したものには退席を求め、以降のホームゲームへの入場を禁止する旨も明記され、例え違反者がシーズンチケットホルダーであっても、返金にも応じないという厳しいものだ。

今回取材に当たって、試合はもちろんサポーターの振る舞いにも注目し、ゴール裏席に近付いてみた。確かにそこにはJリーグとは違った、ほのぼのとした空気があった。そして、寒さが身に堪えはじめる11月の月曜ナイターという厳しい条件にも関わらず、中高生や子どもの姿が多く見受けられ、新宿という街の多様性を示すかのように、外国人サポーターも見られた。時折演奏されるブラスバンドの応援も、かつてのオランダ代表や、甲子園のアルプススタンドのようで、耳当たりが良かった。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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