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C・ロナウドが長きにわたり活躍できる秘密とは?成功したポジション転向の変遷

クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(39歳)(現アル・ナスル所属)は、なぜこれだけの長きにわたり第一線で活躍できるのだろうか。今なおサッカーに対する情熱を持ち続ける練習の虫で、徹底的なトレーニングとストイックな栄養管理を行っている。しかし、成功の秘訣はそれだけではない。

ロナウドは四半世紀を迎えようというプロキャリアの中で、高いパフォーマンスを発揮し続けるためにポジションをコンバートし、プレースタイルを大きく変貌させてきたのである。ロナウドがどのように進化をとげてきたのか、変遷を一緒に追ってみよう。

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クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド所属時)写真:Getty Images

デビュー当時は生粋のウインガー

ところで「ロナウドのポジションは?」と聞かれたら、なんと答えるだろうか。「フォワード」あるいは「センターフォワード」と答える人が多いだろう。両方とも正解だ。しかし、それは現在のポジションであり、デビュー当時は生粋のウインガーだった。

2002年8月に17歳で母国ポルトガルのスポルティングCPでプロデビューし、翌2003/04シーズンにマンチェスター・ユナイテッドに加入したロナウド。当時ユナイテッドのアレックス・ファーガソン監督は十代の若手ながら即戦力であることを断言し、開幕のボルトン戦で途中出場を果たした。

プレミアリーグでデビュー当時のロナウドは、テクニックとスピードには秀でているが、タックルされると弾き飛ばされることが多かった。イングランドのフィジカルコンタクトの基準はポルトガルと大きく異なっている。ポルトガルではファウルになるようなタックルでも、簡単に倒れるとイングランドでは審判が流す傾向があった。それに加えてロナウドが身体的に未発達だった。見るからに華奢で、体重はおそらく現在より10kgくらいは軽かっただろう。

ロナウドが多用していたシザーズ(またぐフェイント)は、タックルされると身体のバランスを崩しやすいため、対策として使用頻度を減らした。そして、シーズンを追うごとに体つきが大きくなり、持ち前の突破力が生きるようになった。

フィジカルが大きな特徴であるプレミアリーグでキャリアの初期にプレーしたことが、ロナウドの身体的な形成に大きな影響を及ぼしたといっていいだろう。成長するなかで年々、得点数を上乗せしていった。ウインガーとしてのロナウドはユナイテッド(2003-2009)で完成をみた。


クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリード所属時)写真:Getty Images

転機になったレアル・マドリード入団

次に所属したスペインのレアル・マドリード時代(2009-2018)は、ロナウドにとってプレースタイルの転換期となり、年齢的にもピークを迎えた。

マドリードに入団初期はウインガーで、サイドから中央に切り込んでいって得点するシーンが多かった。次第にゴール前に入り得点を狙うストライカーの動きを織り交ぜるようになり、ヘディングシュートも増えた。これが得点が増えた要因だろう。ウインガーだったのが、次第にセンターフォワードでプレーするようになったのだ。

イタリアのユベントス(2018-2021)加入時には、完全にセンターフォワードに変貌していた。ウインガーのような動きはほとんど見せずにクロスに反応してゴール前で得点を決めることに専念し、ゴールから近い距離からのヘディングの得点がより一層増えた。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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