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C・ロナウドのプレースタイル。世界で秀でた4つの特徴

クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

代表得点の世界記録、欧州チャンピオンズリーグ(CL)通算最多出場・最多得点・歴代最多7度得点王。これは、バロンドール(世界年間最優秀選手賞)を5度獲得しているポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(39歳)が持つ記録のごく一部にすぎない。

サッカーの枠を越えて名声を不動のものにしているロナウドは、選手契約以外にスポンサー収入もあり、世界で最もお金を稼ぐアスリートとも言われている。あらためて何が凄いのか、ロナウドのプレースタイルと武器について考察してみよう。

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クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

心技体と三拍子揃っている

ロナウドは、高い身体能力とテクニック、そして情熱を兼ね備えているのが強みだ。サッカーへの思い入れは並大抵ではなく、試合後ならともかく試合の最中にも涙を流してしまうこともある。しかし、その影響でプレーに乱れが生じないから不思議だ。

スピードがあり、右利きだが左足のキックも遜色がなく、背丈があるためヘディングも強く、これといった死角が見当たらない。縦に抜け出してクロス。あるときはドリブルでカットインからシュート。また、あるときはゴール前で競り合ってヘディングシュート。相手にとっては、なかなかに対策が難しい厄介な選手だ。


クリスティアーノ・ロナウド 写真:Getty Images

テクニックの引き出しが多い

ロナウドは、とにかく相手を惑わせるトリッキーなテクニックの引き出しが多い。

シザーズ(またぐフェイント)。エラシコ(足アウトサイドで触れて一連の動きでインサイドへの切り返し)。ラボーナ(軸足の後ろ側で交差させるキック)。もしくはラボーナをすると見せかけての切り返し(リバース・クライフターン)。ドリブルしながらのクライフターン(軸足の後ろでの切り返し)などがある。

とりわけ巧みなのがドラッグバック(足の裏のコントロール)だ。足の裏で細かく触ってヒールキックすることもある。足の裏はボールに触れている時間が長くなるため、究極に柔らかいタッチができる。ボールを引き寄せて360度あらゆる方向に転換できるため、相手にとっては予測が難しい。難易度が高い技だが、ロナウドはスピードに乗った状態でも足の裏で高水準のコントロールができる稀有な能力を持つ。

また、187cmと長身だが、驚くほど細かく素早いステップを得意とする。身体が大きいと動作が鈍くなる傾向があるが、ロナウドの膝から下の動きは時には肉眼では捉えられないほどに高速回転する。

ブレ球もロナウドの大きな武器になっている。キックする際に足の甲全体で押し出すようにボールを捉えることで無回転になり不規則な動きをするため、GKは球の軌道が読めずに対処が極めて難しくなる。無回転シュートを意図的に蹴れるのは、プロ選手でも限られている。蹴り方だけではなく、仁王立ちする助走の入り方まで、多くの選手が模倣するようになった。

すね当てが下がってこないように足首にホワイトテープを巻いているが、キックの際に当たってミスしないように配慮してのことだ。とりわけ無回転ボールは、ちょっとした不具合でも成功しないため細心の注意を払っているのだろう。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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