アメリカを連覇に導いた新監督
最後の1つは、アメリカ代表のエマ・ヘイズ新監督が就任から約2ヶ月の短期間で金メダル連覇を達成させたことだ。アメリカは今年5月中旬頃、イギリスの名門クラブ『チェルシー・ウィメン』から代表チームの監督として彼女を迎え、チーム力の底上げやヘイズ流の戦術を取り入れた新しい戦い方をスタートさせたばかりだった。ヘイズ監督下で迎える初の世界大会となったパリ五輪では、アメリカらしいスピード感や攻めの動きが目立った昨夏W杯とは異なり、冷静に相手の動きを分析するプレーが際立っていた。それが顕著だったのが、なでしこジャパンとの準々決勝だ。
日本もアメリカ同様、相手の動きを先読みして守備を固めていたため互いに一歩も引かない緊迫した120分となったが、結果は1-0でアメリカが勝利。ヘイズ監督は決勝戦後のインタビューで胸の内を明かした。
「これまで見る側だったオリンピックに、まさか自分が監督としてチームを率いて(出場し)優勝できたことに信じられないほど感激している。金メダル獲得はスタッフのサポートや選手たちそれぞれの素晴らしい経験値があったからこそ。みんなで一緒に大会を楽しむことができた」
またヘイズ監督によると、金メダル獲得の背景にはアメリカ代表キャプテンMFリンジー・ホランの存在が大きかったと言う。「ピッチ外でもリンジーが常に若い選手や周囲の人々をサポートし、単にキャプテンとしてではなく私(監督)の仕事を支えてくれていた。リンジーと一緒に仕事ができたことに感謝している」
会見で語られたヘイズ監督のこの言葉を隣で聞いていたホランは感極まって涙を流し、17日間におよんだパリでの闘いを噛み締めた。
パリ五輪では各国それぞれたくさんのドラマがあった。次の世界大会となる2027年のW杯では、一体どんなサプライズが待ち受けているのか。勝敗だけに留まらない女子サッカーの魅力に、今後もきっと世界が注目するだろう。
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