変化を求めて手放した藤枝生活
2020年のプロデビューから3シーズン過ごした藤枝での生活は、横山のサッカー人生における軸となっている。恩師やチームメイトにサポーター、プライベートも充実した日々だった。しかしそれらを手放してまで千葉に来たのは、横山が抱く“成長へのこだわり”ゆえ。
「藤枝での生活は100点満点でした。でも、W杯を目指すのであれば、どんなにうまくいっていても何かを変える必要があると思ったんです。たとえそこがどんな環境でも、同じことを続けていくには恐怖がありますし、成長も止まってしまう」
千葉への挑戦は新たな目標に向けての変化を重要視したうえでの決断であると明かした横山だが、もちろん環境だけでなくプレー面での変化も重視している。横山は現在、ボールを持ったときに違いを生み出せる選手として千葉の攻撃を支えているが、今後追求したいのはオフ・ザ・ボールの動きだという。
「逆サイドにボールが渡ったときの前線へのスプリントなどは課題ですし、それが結果に繋がると思います。ただ、ゴールやアシストはあくまでもプラスアルファの部分なので、まずはチームとしてのベースを追及したいです。その土台があることで初めてプラスアルファが活きると思うし、どのポジションでもその割合を増やすことができれば“圧倒的な存在”に近づくと思います」と、チーム内でのタスクを最優先にさらなる成長を誓う。
「どんな状況でも優勝に向かうべき」
横山が目指す“圧倒的な存在”への道のりは決して平坦ではなく、掲げた目標を考えれば熊本戦での敗北はチーム・個人としても手痛いものだった。そんな状況のなか、試合終了後にサポーターから選手たちに送られた声援が横山の決意をより強くした。
「あの応援はめちゃくちゃ響きました。ジェフに戦っていない選手はいないですし、僕らはサポーターもチームの一員だと思っています。だからこそ本当のチームメイトに接するような態度で鼓舞してくれた千葉のサポーターを誇りに思うし、より一層彼らのために突き詰めたプレーをしたいです」と、苦しい瞬間にこそ前向きな言葉を掛けてくれるサポーターに感謝した。
次節(第25節)、千葉は8月3日にニッパツ三ツ沢球技場で現在リーグ3位の横浜FCと対戦する。上位チームとの重要な一戦を前に「僕らはシーズン開幕前に優勝という目標を掲げてスタートしました。でも、もしかしたら今後それが現実的でないと思われる場面があるかもしれない。それでも優勝を掲げた以上、どんな状況でもそこに向かっていくべきです」と意欲をみせ「今後、ジェフに関わる全ての人たちの間でも弱気になることがあるかもしれない。でも、自分はそうあってほしくないと思っています」と語った。
「優勝を目指すかプレーオフを目指すかで日々の行動が変わります。優勝を目指すことで全ての基準が高くなりますし、プレーオフが目標では日々の行動がそこに合わせたものになってしまう。だからこそ中断期間中も優勝を目指しますし、チームメイト同士の会話でも『優勝』という言葉を増やしていきたい。そのためにはサポーターの方々からも優勝という言葉を今まで以上に投げかけてほしいです。そのために僕らは闘います」と、最後まで諦めず優勝に向かい続ける姿勢を求めた。
横山の根底には“究極のエンターテインメントサッカー”である日本代表への想いと、そこから逆算した日々の成長志向がある。それは今の千葉にとっても重要なものだ。プレーオフ進出ではなく、J2優勝とJ1昇格を勝ち取ることが、声援を送り続けるサポーターにとっても一番のエンターテインメントであるはずだ。
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