海外挑戦の旅は始まったばかり
W杯が行われた2023年の1月から、浜野にとって初の海外クラブ挑戦の旅が始まっていた。
移籍先となったチェルシーは、イングランドのトップリーグ(WSL)で直近4シーズン(2019/20〜2022/23)連続優勝を誇る強豪クラブだ。浜野と同じポジションには、オーストラリア代表キャプテンでもあり世界が注目するストライカー、FWサム・カーの存在が大きくある。筆者は流星の如く日本からやってきた浜野が、カーを含めたチェルシーのメンバーとどんな化学変化を生むのか?と期待を膨らませていた。
しかし浜野はチェルシー移籍と同時に、スウェーデン1部のハンマルビーへと期限付き移籍。同年夏には肩を負傷してしまい、治療のためにハンマルビーとの契約満了期間を前倒してチェルシーへと戻ることになる。ハンマルビーの情報によると「浜野は公式戦で22試合出場、11得点を挙げてチームに非常に貢献してくれた」と活躍を称賛。また同クラブのスポーツディレクターを務めるヨハン・ラガー氏も「彼女は私たち(チーム)にとって重要な選手であり素晴らしい人だ」とコメントしている。
2023年も終わりに差し掛かっていた12月17日、数ヶ月間におよび肩の怪我と闘ってきた浜野がついに復帰。WSL第10節チェルシー対ブリストル・シティの試合で、浜野は背番号23のブルーユニフォーム姿で途中出場し、チェルシーでのデビュー戦を迎えた。現時点、チェルシーでは公式戦3試合に出場。旅はまだ始まったばかりである。
「決して諦めたくない」という心の強さ
なでしこ選出から瞬く間に海外へと飛躍した浜野の根底にある強さとはどんなものなのか?そのヒントがFIFA公式ウェブサイト内のドキュメンタリー短編動画コンテンツ『Queen of WE(WEの女王)』でもチラリと見える。
動画には、当時INAC神戸に在籍中の浜野とご両親が出演。幼い頃の浜野について「とにかく一言でいえば負けず嫌いな子。プレーが上手くいかなかったら泣く、試合に負けたら泣く。もうずっと泣き虫です」と語っている。幼い頃から勝負や挑戦することに対して「決して諦めたくない」という浜野の心の強さが、現在のプロサッカー選手への道を強固なものにしていったと感じる。
浜野自身は動画内で「サッカーをしてなかったら一体どんな生活を送っていたのか、自分も想像できない」と口にしている。この言葉に沿っては、同時に周囲の人々もまた、想像ができないかも知れない。それほど浜野の姿やプレーは見ている者を魅了し、そして未来への期待がかかっているように感じる。
これからイングランドの地で「MAIKAがいないチェルシーは想像できない」という声が湧き上がることを期待している。
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