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浦和を救った関根貴大。逆転で決勝進出の功労者に【ルヴァン杯準決勝】

浦和レッズ MF関根貴大 写真:Getty Images

関根が見せた好プレーとは

試合序盤に劣勢に陥った浦和を救ったのは、第1戦で退場処分を受けたDF酒井宏樹に代わり、右サイドバックとして先発した関根。的確な立ち位置で浦和の攻撃の起点となっていた。

基本布陣[4-2-3-1]の浦和は横浜FMのハイプレスに晒されたものの、自陣からのロングパスを駆使し、ボールロストを回避。前半6分にはGK西川から敵陣に立っていた関根へのロングパスが繋がり、同選手から左サイドのDF荻原拓也にも長距離パスが送られる。横浜FMに試合の主導権を握られかけたなかでの良い攻撃だった。

関根のポジショニングが特に活きたのが、前半15分の浦和の攻撃シーン。ここでは右サイドバックの同選手が内側に立ち位置を移し、自陣でボールを受けたセンターバックのショルツをサポート。このときショルツとしては内側に絞った関根と、タッチライン際に立っていたFW髙橋利樹(右サイドハーフ)のどちらにもパスを出せる状況で、横浜FMにとってはハイプレスの的やボールの奪いどころを絞りにくかった。

ショルツからの縦パスを受けた関根がサイドチェンジのパスを繰り出すと、このボールを受けた左サイドバックの荻原がクロスを放つ。ペナルティエリア内にいたFWホセ・カンテのラストパスに早川が反応し、ボールを相手ゴールに流し込んだ。シュートを放った早川の立ち位置がオフサイドポジションと判定され、得点は認められなかったものの、関根を起点とする質の高い攻撃が繰り出されたワンシーンだった。

右サイドハーフの髙橋が内側に立った際はタッチライン際に張るなど、関根の状況に応じたポジショニングは浦和の攻撃のアクセントに。センターバックのショルツがボールを運んだ際には、関根自身は攻め上がらずに守備のリスク管理を担うなど、攻守両面で二手三手先を読むプレーができていた。


浦和レッズ GK西川周作 写真:Getty Images

後半の配置変更も奏功

後半から浦和の選手配置が変わり、基本布陣も[4-2-3-1]から[4-4-2]へ移行。カンテと髙橋による2トップが組まれたほか、小泉が右サイドハーフ、早川が左サイドハーフに移った。

小泉が内側にポジションをとり、同選手の外側を右サイドバックの関根が追い越そうとする構図が、浦和の強力な武器に。後半7分から8分にかけての攻撃シーンでも、センターサークル付近でボールを捌いた小泉のスルーパスに、横浜FMのサイドバック永戸の外側を走った関根が反応しており、惜しい攻撃に繋がっている。サイドハーフの選手の持ち味を踏まえた、関根のポジショニングや走路決めが活きた場面だった。

小泉が交代となり、途中出場のMF大久保智明が右サイドハーフで起用されてからは、関根が内側に立ち位置を移して攻撃に関わる場面がしばしば。タッチライン際でのドリブル突破が持ち味の大久保との役割分担が円滑で、これが試合終盤の浦和の猛攻に拍車をかけた。

ファインセーブを連発したGK西川、果敢な攻撃参加で2度のPK奪取に貢献した荻原、1度目のPK獲得シーンを含め決定機に複数回絡んだ早川、PKを2回とも成功させたショルツ。彼らと同じくらい、今回の勝利に対する関根の貢献度は高かった。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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