キャプテン熊谷の経験と若手選手が強み
今女子W杯で、なでしこジャパンのキャプテンを務めるのはDF熊谷紗希(現ASローマ所属)だ。2011年大会では、当時20歳ながらセンターバックのレギュラーとして全試合フルタイム出場。アメリカとの決勝戦ではPK戦で4人目のキッカーを務め、豪快に左上へと蹴り込み優勝を決めた。
その後も所属クラブのみならず、日本代表としても世界を相手に戦い続ける経験豊富なキャプテン熊谷は、今W杯に挑む23選手内で唯一、2011年大会での優勝を身をもって知る存在である。当時のキャプテンMF澤穂希が無類の勝負強さを示したように、熊谷がチームを引っ張り、紙一重の試合を制す鍵となる可能性は十分にあるだろう。
また、若手選手の躍進も注目ポイントのひとつだ。U-19、U-20の日本女子代表を率いた経験のある池田監督は、2018年のU-20女子W杯で初優勝、2022年には準優勝と輝かしい栄光を記録しており、現在のなでしこジャパンには教え子も多数いる。
2018年のU-20W杯でチームトップの5得点を挙げたFW植木理子(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属)、キャプテンを務めたDF南萌華(現ASローマ所属)。2022年U-20W杯で大会最優秀選手に選ばれたFW浜野まいか(現ハンマルビーIF所属)、背番号10を背負ったMF藤野あおば(現日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属)などはその代表格だ。フル代表での経験は多くないものの、大会を通じての戦い方やメンタル面の調整を経験済みの選手が多いことは強みとなるだろう。
世界で4か国だけの栄光
なでしこジャパンは2011年W杯の優勝で、国内外から一躍注目を集めた。東日本大震災からの復興を目指す日本国民に勇気を与え、また団体として初めて国民栄誉賞を受賞した。日本の女子サッカーがもう1度盛り上がるためにも、W杯での優勝が最短ルートであることは間違いない。
放映権料の高騰によってなかなか決まらなかったテレビ中継も、日本の試合をNHKが放送することで決着。選手のモチベーション向上にも繋がったことだろう。国内での盛り上がりはまだまだといったところだが、女子サッカーブームを巻き起こした2011年大会時も、勝ち進むにつれて急速に機運が高まったことを思えば、なでしこジャパンの頑張り次第で当時に負けない盛り上がりを作ることも不可能ではない。
女子W杯で優勝経験を持つのは、アメリカ、ドイツ、ノルウェー、そして日本のわずか4か国のみ。その誇りを胸に、2度目の優勝を目指すなでしこジャパンは、7月22日にザンビアとのグループリーグ初戦、26日にはコスタリカと第2戦、31日にはスペインと第3戦を迎える。
各グループの上位2チームが決勝トーナメントへと進出し、8月20日の決勝戦はオーストラリアのスタジアム・オーストラリアで開催される予定だ。なでしこジャパンがこの舞台に立つことを願い、日本から熱い声援を送り続けたい。
コメントランキング