Jリーグ 北海道コンサドーレ札幌

【J1リーグ2023】打ち合い制した札幌を解析。勝因は2シャドーの動き

北海道コンサドーレ札幌 MF青木亮太 写真:Getty Images

勝利ポイントは2シャドーの動き

同試合、目立ったのは札幌の両サイドのスペースの取り方である。札幌は流動的なポジションチェンジをとるチームだ。今2023シーズン開幕前ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は選手に対し「ポリバレント性」を求めていた。選手が流動的にポジションをとりながら、チームとしての編成部分を崩さないことが重要と語った。

この場合に攻撃のポイントとなるのが、2シャドー(シャドーストライカーを2人配置するフォーメーション)で、いかに質の高いフリーランをすることができるかだ。第7節では、その2シャドーを青木と浅野が務め、その存在意義を魅せるには十分すぎる仕事をやってのけた。

浅野は今シーズンから加入した札幌で、開幕から思うようなフィット感を出せずにいた。しかし、その消化不良感をこの試合で解消したといえる。先制点のシーンは、味方スローインに対しロングランでスペースをつく。そこからC大阪ディフェンスに囲まれるも個人で打開。金子に決めるだけという丁寧なラストパスを送る。ペトロヴィッチ監督が求めているフリーランを体現した形となった。

一方、青木は浅野とは異なり、真ん中のスペースをつくフリーランを何度も繰り返した。象徴的なシーンは前半24分。金子がボールを持つと、C大阪のディフェンスライン前へランをする青木。このランによって前向きでボールを受けることができ、シュートまで持ち込むことができた。


北海道コンサドーレ札幌 MF金子拓郎 写真:Getty Images

J屈指のサイドハーフ金子拓郎

また、同試合で2得点(1ゴール1アシスト)を演出した金子だが、この人無しでは今の札幌を語ることはできないだろう。元々キックの精度がピカイチであったことに加え、スプリントの能力も加わり、Jリーグでも屈指のサイドハーフといえる。

特に2点目のキム・ゴンヒ得点の際のアシストシーンである。金子は中央で青木がボールを持つと、右サイドをスプリントで駆け上がった。スペースがないと判断するとスプリントをやめ、一度ステイする判断力を発揮。そこに転がってきたボールをワンタッチ。ゴール前のキム・ゴンヒへピンポイントクロス。金子の良さが全て詰まったような一連のプレーであった。

今年26歳を迎え、円熟味を増してきた金子が見据えるのは札幌でのタイトル獲得だ。見ているファンの中には、そんな金子を日本代表でも見てみたいと思っている人も多いはず。そんな日がいつか来るかもしれない。

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名前:KIRA

趣味:サッカー、筋トレ、ワイン
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大学までサッカーを現役でプレー、今は会社員として週末に社会人リーグでプレー。戦術解説をメインに皆さんにサッカーを「もっと好き」「もっと楽しんでもらえる」をモットーに頑張ります!

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