フランス代表 ワールドカップ

フランスの武器は巧みな“中央封鎖守備”。イングランドの遅攻を封印【W杯試合分析】

フランス代表アタッカー陣による中央封鎖

前半15分にもムバッペ、ジルー、グリーズマンが中央のレーンやハーフスペースに立ちはだかり、これによりウォーカーが縦パスを繰り出せず。ヘンダーソンが右サイドでウォーカーからのパスを受け、ハーフスペースに立っていたサカにボールを渡そうとすると、これをラビオがインターセプト。そのままラビオが敵陣ペナルティエリアまでボールを運んだことで、速攻に繋がった。フランス代表の中央封鎖守備が機能していた場面と言えるだろう。

自陣後方でゆっくりパスを回しながら相手選手を誘い出し、この瞬間にワンタッチパスや中・長距離のパスを繰り出して速攻を成立させるのが得意なイングランド代表だが、フランス代表があまりハイプレスを仕掛けなかったため、目論見通りの展開とはならず。闇雲なプレッシングを避け、中央のレーンやハーフスペースの封鎖、及び相手のパスワークをサイドに追いやることを徹底したレ・ブルーの作戦勝ちだった。

フランス代表 FWオリビエ・ジルー 写真:Getty Images

W杯連覇に向けてフランス代表が今後突き詰めるべきは、敵陣でのボールロスト時に素早く前述の守備隊形を整えることだろう。

イングランド代表が1度目のPKを獲得する直前、フランス代表は敵陣でボールを失っているが、ここではジルーの帰陣やムバッペによる左のハーフスペースの封鎖が遅れている。これによりイングランド代表のセンターバック、ジョン・ストーンズによるボール運搬を許し、最終的に右サイドのサカにボールが渡ってしまった。相手のビルドアップを停滞させるための守備は確立されているだけに、攻守の切り替えの遅れを無くせば、トロフィーに手が届くはずだ。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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