ラ・リーガ ヘタフェ

2部降格からリーガ上位にまで昇りつめた、ヘタフェの成功の秘密

ネマニャ・マクシモヴィッチ 写真提供: Gettyimages

選手の底力を引き出すのが得意なボルダラス

ヘタフェがトップを狙えるほどの力を付けたのは、戦術だけが理由ではない。ボルダラスは、選手の底力を引き出すことが非常に得意だと言われている。

例えば、2トップとして使われているハイメ・マタとホルヘ・モリーナ。

マタは、スペイン2部から昇格したばかりのレアル・バリャドリードを自ら離れ、地元のマドリードに戻りたいという理由のみからフリーで獲得された選手だと思われていた。モリーナは、36歳にしてサッカーを引退することを本気で検討していたという。現在この2人は攻撃を任されていて、大活躍中。ここまで結果を出せるとは誰も思わなかっただろう。

また、これまでそんなに目立つことのなかったマウロ・アランバリとネマニャ・マクシモヴィッチは、代表チームに選ばれるほど力を付けており、ヨーロッパの多くのトップクラブからの関心を集めている。

さらに、このチームに安定をもたらした秘密兵器と言えば、トーゴ出身のジェネ・ダコナムだ。彼は2017年7月にヘタフェに加わり、ボルダラスの元で才能が磨かれ、クラブの宝物となった。2019年の夏にはアトレティコ・マドリードから2000万ユーロ(約24億円)での獲得オファーまで届いたが、クラブが断ったという。

選手の成長の理由は、ボルダラスのコミュニケーション力にあると言われている。彼はそれについてこう語る。

「私の家族は10人兄弟です。父をとても尊敬しています。彼は子供の時から私たち兄弟に責任を与えて、努力することがどんなに大事かということをを教えてくれた。彼の教育は監督の経験にも役に立っています」

ジェネ・ダコナム 写真提供: Gettyimages

クラブ全体がトップチームと共に成長

成長しているのはヘタフェのトップチームだけではない。クラブ全体が少しずつ大きくなることを目指している。その中でも特に力を入れているのは、ユース選手の教育だ。

この2年でヘタフェの練習施設が大きくなり、コートは一気に増えた。それによって、全てのユースのカテゴリーが一か所でトレーニングすることとなり、ボルダラス監督も頻繁に彼らのトレーニングを見ているという。

いつかヘタフェは、今まで達成したことがないラ・リーガ優勝という夢を叶えることができるだろうか。厳しい目標だが、サッカーは何が起きるのかわからないスポーツである。

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名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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