IFAB(国際サッカー評議会)は、2019/2020シーズンから改正されるいくつかのルールを発表している。どれも細かい部分だが、試合に影響を与えるものもあるので注意したい。そこで今回は、英紙『フォー・フォー・ツー』が選んだ7つの重要なルール変更をご紹介したい。
1.選手交代
交代を命じられた選手は、タッチラインまたはゴールラインの一番近いポイントから、ピッチを離れる必要がある。
これまでサッカーファンが飽きるほど見てきた「試合終盤、リードしているチームが選手交代をし、交代を命じられた選手が逆サイドからベンチまでゆっくりと歩いて戻る」という、あの時間の浪費は、今後見なくて済む。
ただ、懸念点もある。プレミアリーグでは、1995年にエリック・カントナが観客にカンフーキックを見舞って以来、無駄な観客との衝突を避けるため、退場を宣告された選手は、ピッチの外周を通らず、退場口のトンネルまで直接向かうことが義務付けられている。これまではベンチ前で選手交代を行なっていたため、選手交代の際に規則は設けられていなかったが、ピッチの外周を選手が通ることで新たなリスクが生まれることになるだろう。
より良い改善策は、「選手交代の際に主審が時計を止めて、交代が完了したら再開させる」という方法だったはずだ。
2.フリーキックの壁
守備側が3人以上の壁を作る場合、攻撃側がその壁から1ヤード以内に入ることは出来ない。
これまで守備側の壁に攻撃側の選手が入り込み、GKの視界を防いだり、守備側の選手を押すことで壁を割らせたり、飛ぶのを妨げたりする場面がみられた。この反則ギリギリのプレーは主審の判断を悩ませており、この度ルールが改正されることになった。
ただ、1ヤードの判断は非常に難しくなるはずだ。守備側の壁のラインはバニシングスプレーでマーキングされるが、1ヤードのラインはマーキング出来ない。主審が新たなルールに慣れるまで、少し時間を要するだろう。
また、この変更によってフリーキックの直接ゴールの成功率がどう変わるか注目だ。
3.ドロップボール
従来のルールでは、主審がボールをドロップし、グラウンドに触れた瞬間、全てのプレイヤーにプレーする権利が与えられていた。
このドロップボールのルールが来季から変更。ペナルティエリア内でプレーがストップした場合は、GKにボールがドロップされて再開、それ以外のエリアであれば、最後にボールタッチした選手にドロップされることになる。この際、該当選手以外は4メートル以上離れなくてはいけない。
4.ペナルティキック
Jリーグでも先日話題となったが、ペナルティキックのGKに関するルールは今まで曖昧な規定であった。
来季からは、ペナルティキックの際、GKがゴールポスト、クロスバー、ネットに触れてはいけず、最低でも片足の一部をゴールライン上に残していないといけない(ラインの後方、前方への飛び出し禁止)となった。
5.ゴールキック
これまでゴールキックはペナルティエリアの外に出た瞬間からインプレーとなっていたが、今後はボールが蹴られるか、明らかに動いた場合、インプレーとなり、ペナルティエリアの外に出す必要は無くなった。
この変更により、相手のハイプレスで状況が悪くなった場合、ペナルティエリア内でボールを受けて、ゴールキックをやり直すという手段は取れなくなった。
6.ハンド
ルールの変更はないが、解釈を狭めるために、文言が追加されている。「偶然であっても、手や腕に当たりゴールとなれば、これは認められない」。ゴール前の混み合った状況が想定された規則であり、VARの導入を考慮したルール変更と言える。
7.ゴールセレブレーション
ゴールセレブレーションに関してもVARの導入を考慮してルールが追加された。(VARなどによって)得点が取り消されたとしても、その前にゴールセレブレーションがルールに抵触し、警告を受けていた場合は、その警告は取り消されないと明記されている。
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