ノックアウトステージに入り、日本はサウジアラビア戦でこの大会最高の試合を見せた。プレッシングで相手を窒息させ、守備のエラーを誘い。攻撃ではよりダイレクトなスタイルで戦った。2得点を記録した岩崎悠人は高校時代「怪物」と呼ばれたが、J2で活躍できずに将来が疑問視されていた。しかしアジア大会ではフォワードとしてチームトップの4ゴールを決めて自身の能力を証明した。
準決勝のUAE戦は遅いテンポの試合に。披露の色が隠せない両チームはお互いにチャンスを多く作れなかった。日本は終盤に得点を奪い、決勝に進出。この試合では左サイドが良く機能した。遠藤渓太のオーバーラップと岩崎の存在は大きかった。
決勝戦は今まで戦ったことのないようなチームが相手だった。韓国は彼ら自身の人生とキャリアをかけて戦い、モチベーションは日本以上だったはずだ。キックオフ直後からレベルの違いは明白で、韓国は非常に強い圧力をかけてきた。韓国がチャンスを迎えるが日本がどうにか防ぐ展開が続く。立田悠悟は最も印象的だった選手で、原輝綺と板倉滉をカバーリングし続け、すべての空中戦で勝利した。
時間が刻々と過ぎてゆき、ソン・フンミンの影響力は落ち、ファン・ウィジョはチャンスを逃し続け、ファン・ヒチャンはフラストレーションを隠せずにいた。後半から出場したイ・スンウもいいプレーができずに苦しんでいた。延長戦に持ち込んだこと自体がひとつの偉業だと考えてもいい。結局1-2で敗れたものの、選手たちは2失点してから1点を返す気概も見せた。
敗戦したとはいえ、日本は素晴らしいパフォーマンスを見せた。ディフェンスは相手を跳ね返し続け、オフェンスは疲れを見せなかった。スロースタートした大会だったが、逆境をはねのけ、決勝では強大な相手に対して90分間得点を与えなかった。この姿勢こそ、「森保時代」に見たいものだ。
著者:チアゴ・ボンテンポ
1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。
Twitter: @GunnerTNB
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