Jリーグ 名古屋グランパス

Dr.TRIBE【試合診断書】 J1リーグ第24節 名古屋グランパス対浦和レッズ

大会:J1リーグ
カード:名古屋グランパスvs浦和レッズ
スコア:4-1
担当医:ペペ土屋( @PPDOLPHINS
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ジョー

圧巻のハットトリック。PKを外しこそしたものの、きっちり自分の仕事を果たして得点ランキング1位のパトリックにヒタヒタと迫っている。ゴール前でのポジショニングもさることながら、味方が上がったスペースをしっかり埋めて、守備に参加する意識の高さも見せた。

ザ・ハード・ワーカー(THW):エドゥアルド・ネット

名古屋急浮上の要因は彼の存在にあると言ってもいい。中盤の底でビルドアップの中心的な役割を担い、最終ラインまで下がって前線にパスを供給したと思えば、機を見た攻め上がりで数的優位作り、浦和に的を絞らせなかった。

モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):ファブリシオ

浦和に加入してから好調を維持していたファブリシオだったが、この試合では不発に。興梠とのコンビネーションはいいものの、フィニッシュの局面で雑さが目立ち、チームの一員としてプレーできていなかった。


名古屋の攻撃vs浦和の守備

名古屋:CBからボールをつないでゴール前までボールを運ぶ。その中心的役割を担っていたのがネット。彼を経由して、前線の4人にボールが渡る。

前の4人はネットや小林が明けた相手CMの前もしくは脇のスペースまで、毎回誰かが下がってボールを引き出し、サイドバックが高い位置をとれるようにする。それと同時に、誰かが裏をとる動きをして深さをとり、ライン間にスペースを作る。

浦和:5-4-1気味のブロックを敷いて名古屋の攻撃を受け止めようとした浦和だったが、あまりにもネットに自由を与えすぎた。彼からの縦パスがジョーやシャビエルに入り、前を向かれてピンチに。序盤はネットに青木がついていくシーンが見られたが、その後は興梠がマークするなど、曖昧さは否めなかった。

武藤の動きを観る限り、サイドにおびき寄せてWBのところで挟んでボールを奪取するプランだったようだが、ネットと小林のポジショニングに阻まれ、プレスがはまらなかった。終盤に選手交代でペースを変えた名古屋に対応できず。


浦和の攻撃vs名古屋の守備

浦和:WBが高い位置をとり、クロスをあげてそれに興梠を中心とした前の3枚が飛び込む形。しかし、WBの最後のパスは判断自体の精度が低く、自らチャンスを潰すシーンが目立った。

ファブリシオと興梠の連携は良く、興梠が裏を狙って相手を押し下げ、空いたスペースにファブリシオが下りて攻撃の基点を作れていた。しかしそのあとの創造性に貧しく、淡泊な攻撃に終始。

名古屋:試合序盤には前から人を埋めてプレスに出ることが何度かあり、その際は、玉田が3トップとともに相手3バックにプレスをかけていた。しかし基本的には4-4-1-1の4-4が縦にコンパクトなブロックを敷いて、中央の危険なスペースを浦和に使わせなかった。

高い位置をとる浦和のWBにはSMFがしっかり最後までついてゆき、5バック気味になるシーンも。巧みな動きで常に裏を狙う興梠をシャットアウトした、中断期間に獲得した丸山の存在感も光った。


名古屋監督:風間八宏

怒涛の6連勝でどんどん順位を上げている名古屋。もともとクオリティのあるチームだったため、驚きではないが、選手起用とそれが次々に当たるところから、今のチーム状況の良さがうかがい知れる。

途中出場の相馬は2アシストの大活躍を見せ、惜しいフリーキックでスタジアムを沸かせた。ネットと丸山の加入によって強度が増した守備と組み立てが、足りていなかった最後のピースとなってチームを完全に機能させている。


浦和監督:オズワルド・オリベイラ

リーグ戦ここ2試合で合計7失点と、安定していた守備が崩壊。ボールの出し入れが上手い名古屋の仕掛けに最後まで対応することができなかった。3CBを継続して採用しているのはチームのロースターの問題であることに疑いはないが、WBの人材不足は深刻だ。

受け身のスタイルで戦っているものの、対応力がそれほど高くないことはこの2試合で露呈している。この条状況をどうやって切り抜けるのか、名将の腕の見せ所だ。


主審:西村雄一

試合後にオリベイラ監督から痛烈な批判を受けた西村主審。オリベイラ監督の批判ほどでないにしても、確かに判定の基準があいまいだった印象は否めない。しかしジャッジの傾向にいち早く対応した名古屋の選手も巧みだった。