
チームを低価格で強化するためには期限付き移籍を上手に利用することが効果的だ。高額の移籍金を支払うリスクを避けつつ戦力を補充でき、資金面に余裕がないクラブにとって有効な解決策となる。近年ではFFP(ファイナンシャル・フェアプレー規則)の回避にも利用され、その重要性は増しているだろう。
そこで今回は『sportskeeda』が特集した「今夏成立した期限付き移籍選手ベストイレブン」をご紹介したい。

GK:セルヒオ・リコ
期限付き移籍先:フラム
期限付き移籍元:セビージャ
若手育成に定評のあるセビージャ下部組織出身だ。2014年に正守護神とセカンドGKが負傷したことでトップチームデビュー。安定した活躍ですぐに正GKへと昇格し、2017/2018シーズンまでに169試合に出場。2度のUEFAヨーロッパリーグ制覇に貢献し、スペイン代表にも招集された。
しかし、昨季のリーガ・エスパニョーラ第21節でキャッチミスを犯してから信頼が失墜。3月以降は第2GKを務めていたダビド・ソリア・ソリスにポジションを奪われた。
セビージャは今夏スイス1部バーゼルからGKトマーシュ・バツリークを獲得。リコはフラムに期限付き移籍することが決定した。

CB:カラム・チャンバース
期限付き移籍先:フラム
期限付き移籍元:アーセナル
2014年にアーセナルに加入したが、4年間でレギュラーポジションを掴むことは出来なかった。83試合に出場したチャンバースは期限付き移籍のため、まだアーセナルで活躍する未来は(可能性が)残されている。ただ、自身の価値を期限付き移籍先で証明しなければならない。
2016/2017シーズンはミドルスブラに期限付き移籍していたが、プレミアリーグから降格したため契約終了。今夏、昇格組のフラムに1年間の期限付きで加入している。

CB:クル・ズマ
期限付き移籍先:エバートン
期限付き移籍元:チェルシー
カラム・チャンバースと同じく、ズマも期限付き移籍元での活躍を夢見るプレイヤーの一人だ。そして、どちらも23歳とまだ若い。
ズマはいくつかの怪我によって長期間の離脱を余儀なくされたが、昨季は復活を遂げた。クラブは降格したが、期限付き移籍先のストーク・シティで最高のDFとして存在感を発揮。今季は移籍市場最終日にエバートンへ期限付きで加入した。

SB:シメ・ブルサリコ
期限付き移籍先:インテル
期限付き移籍元:アトレティコ・マドリード
2016年にアトレティコ・マドリードへ入団すると、在籍2シーズンで54試合に出場。ロシアワールドカップではクロアチア代表の決勝進出に大きく貢献し、今夏インテルへと移籍を果たした。

SB:テオ・エルナンデス
期限付き移籍先:レアル・ソシエダ
期限付き移籍元:レアル・マドリード
昨季アトレティコ・マドリードからレアル・マドリードへ「禁断の移籍」。左サイドバックの主力選手であるマルセロが怪我で離脱したにも関わらず、わずか23試合のみの出場にとどまった。2018/2019シーズンはレアル・ソシエダで修行することが決定。現在20歳の若武者はラ・レアルで経験を積むことになった。

MF:ティエムエ・バカヨコ
期限付き移籍先:ミラン
期限付き移籍元:チェルシー
毎シーズンのようにチェルシーは他クラブへ多くの選手を期限付き移籍させている。今季の目玉選手がティエムエ・バカヨコだ。
2016/2017シーズンにモナコでリーグ・アン制覇に大きく貢献し、チェルシーへ加入。しかし、出場機会を確保できずにわずか1年でミランへと移籍することになった。移籍金は500万ユーロ(約6億3000万円)。買い取り付きオプション移籍金3500万ユーロ(約44億4000万円)が付帯している。

MF:マテオ・コバチッチ
期限付き移籍先:チェルシー
期限付き移籍元:レアル・マドリード
2015年にレアル・マドリードへ加入したマテオ・コバチッチだったが、長きに渡ってベンチを暖める日々が続いた。ロシアワールドカップ終了後、プレータイムを確保するために移籍を希望。今季はチェルシーに1年間の期限付きで加入することになった。買い取り付きオプションは付帯していないようだ。

MF:アンドレ・ゴメス
期限付き移籍先:エバートン
期限付き移籍元:バルセロナ
2016年にバルセロナへ加入したアンドレ・ゴメスだが、在籍2シーズンでリーグ戦の出場は46試合のみ。プレークオリティが低いとサポーターやメディアから度々批判に晒された。移籍市場最終日にエバートンへ期限付き移籍。レンタル費用は移籍金225万ユーロ(約2億9000万円)となっている。まだ25歳のアンドレ・ゴメスにはキャリアを回復するための時間が残されている。

FW:マッテオ・ポリターノ
期限付き移籍先:インテル
期限付き移籍元:サッスオーロ・カルチョ
このリストの中では最も人気のない選手かもしれないが、インテルにとっては素晴らしい補強と評価できるだろう。昨シーズン、サッスオーロで36試合に出場し、右ウイングのポジションから10得点4アシストを記録している。

FW:アンドレ・シュールレ
期限付き移籍先:フラム
期限付き移籍元:ボルシア・ドルトムント
フラムは今夏の欧州主要リーグの移籍市場で最も活発に動いたクラブの一つだ。5名の選手を期限付き移籍で獲得し、合計12名の新戦力を補強した。
ドイツ代表の一員としてワールドカップ制覇も経験しているアンドレ・シュールレは2年間の期限付き移籍でフラムへ加入。2013年から2015年にプレーしたチェルシー在籍時以来となるプレミアリーグ復帰となった。

FW:ゴンサロ・イグアイン
期限付き移籍先:ミラン
期限付き移籍元:ユベントス
今夏最大の期限付き移籍選手はゴンサロ・イグアインだろう。アルゼンチン代表のストライカーはチェルシーへの移籍が噂されていたが、セリエAでプレーし続けることを選択。ナポリ、ユベントスに次ぐ3クラブ目はミランとなった。
FFP(ファイナンシャル・フェアプレー規則)を避けるために期限付き移籍の形態をとっている。買い取りオプション付きの1年間の期限付き移籍だが、実質的には買い取り義務が付帯する完全移籍。期限付き移籍金が1800万ユーロ(約23億4000万円)、買い取り額が3600万ユーロ(約46億8000万円)とみられている。

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