ワールドカップ 代表チーム

忍耐強さ、精神力、自信が戻ってきた日本代表

乾貴士 写真提供:Getty Images

 セネガル戦のマン・オブ・ザ・マッチは乾貴士だろう。代表におけるメインのドリブラーは独力で試合を変えることができる。彼の得点とアシストによって日本は引き分けることができ、もしもクロスバーを叩いた彼のシュートが入っていれば、勝つことさえできたかもしれない。エイバルで注目すべきシーズンを過ごし、レアル・ベティスに移籍した乾は、以前は左サイドハーフの3番手に過ぎず、23人のメンバー入りさえ危ぶまれていた。血胸のところ、ハリルホジッチ監督時代から彼のポジションでプレーしていたのは宇佐美貴史と原口元気だった。もっと最近では、メディアやサポーターが不在を嘆き悲しんだ、中島翔哉も同じポジションの選手である。

 前線では、大迫勇也が2試合続けてビッグチャンスを逃した。柴崎が絶好のボールを出したものの、大迫はシュートのタイミングを逸し、ボールをとらえることができなかった。彼の前にはセネガルのゴールキーパーしかいなかったにもかかわらず。しかし私たちは他の選手ができない彼の努力を認めなければいけない。ポストプレーだ。加えて守備面でも大きな貢献を果たした。自らのミスを取り返す、重要なシュートブロックを記録した。まるで私たちは存在しそうもないヒーローを十分に有していないように、身長174cmの岡崎慎司は大迫のクロスに対して身長196cmのサリフ・サネと競り合った。彼のトライがゴールキーパーのミスを誘い、ボールを拾った乾は本田圭佑にパス。彼はそれをゴールに決めた。本田はもはやチームのエースではないかもしれない。しかし、彼はその代わりにチームの“お守り”に変身した。コロンビア戦では後半途中から出場して大迫のゴールをアシストし、セネガル戦では途中出場で勝ち点1をもたらす同点弾をマークした。

 日本は2週間前には不可能だと思われていたことを成し遂げた。多くの人が勝ちなしで大会から去ることを予想していた。しかしチームは次のポーランド戦で引き分ければ次に進める状況にある。未だ無敗でありグループトップにいるのだ。ほとんどの選手がコンディションを整えるのに失敗し、正しいときに自信を取り戻せずにいる。近年稀に見る波乱続きのW杯において、日本は力を証明した。このチームはどこまでいけるだろうか。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB

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