代表チーム 日本代表

ハリルホジッチ前監督の会見に見る、W杯と日本サッカーの将来への不安

バヒド・ハリルホジッチ前日本代表監督 写真提供:Getty Images

 ハリルホジッチ前監督のスピーチを聞いていると、解任理由となった「コミュニケーション不足」について彼は問題に気が付いていなかったようだ。2014年のコロンビア戦を10度も見直すような、ワールドカップに向けた細部に至るまでの準備で、あまりにも忙しかったのだ。彼は選手たちと頻繁に話していたことも明言し、2月にはベテランの川島永嗣、吉田麻也、長友佑都とミーティングを行い、そこでは誰も不満を述べていなかったことも明らかにした。「ここでの3年間、私は誰とも問題を抱えていなかった」このように述べたハリルホジッチ前監督はつづけて「コミュニケーションは常にオープンだった。選手やスタッフたちとのコミュニケーションは良好だった」と自己弁護した。

 JFAの田嶋幸三会長が「解任することになった」と突然彼に告げるまで、ハリルホジッチ前監督にとってはすべてが上手く、スムーズに行っていた。少なくともここで彼は、JFAが問題を具体的に説明しなかったと説明し、事前の話し合いなしに解任がすでに決定した後に、彼のところにそれを伝えに来たのだと言う。もしもJFAが、航海に乗り出した船が間違った方向に進んでいると感じたならば、なぜもっと早く船長とその問題について話し合わなかったのだろうか。

 日本はロシアW杯のグループステージで、自分たちよりも強い3ヶ国と戦う。彼らとの実力差は大きくかけ離れているわけではないし、コロンビア、セネガル、ポーランドはいずれも優勝候補ではない。だからこそ私は、2014年のアルジェリアが成し遂げたようにダークホースになりえる道を、ハリルホジッチ前監督は見つけるだろうと期待していたのだ。しかし田嶋会長の「W杯で勝ち可能性をあげる」という発言とは反対に、私の期待感は「ベスト16に進出できるかもしれない」程度から「W杯で恥をかかない」レベルまで下がってしまった。世界の反対側から日本を愛する私のハートには、まだ希望の火は灯っている。しかしその希望は、今はただただいいパフォーマンスを望むものにすぎない。奇跡を祈るしかない。

著者:チアゴ・ボンテンポ

1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。

Twitter: @GunnerTNB

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