現在の堂安はガンバ大阪からの期限付き移籍中の身分だ。買取に必要となる200万ユーロ(約2億6000万円)とEU圏外の選手に支払う必要がある最低給与はクラブにとって簡単な投資ではないが、フローニンゲンは将来より大きな利益をもたらす可能性を秘めた東洋の才能を簡単に手放すつもりはない。
堂安の残留を望んでいるのはクラブの上層部だけではなく、オンラインのアンケートでは実に97%のファンが「堂安を買い取るべき」と回答している。
また堂安自身もオランダ誌『フートバール・インターナショナル』で、日本に比べ守備から攻撃への切り替えが速いと語るオランダで「少なくとももう一年プレーしたい」と明らかにしている。
「(今回の)ワールドカップに行けなくても、まだチャンスはあるかもしれません。まだ若いですし、サッカー選手としてもっと成長できると感じています」
エールディビジでの最近の活躍は、東京五輪世代でもある堂安が既に未来のためだけの存在ではないことを示している。本人も「今のようにプレーし続ければ、そこ(ロシア)に行けるチャンスはあると思います」と語り、残された時間が少ないことを認めながらも、日本代表の一員としてワールドカップに参加することへの確固たる自信と決意を語っている。
日本代表が不振にあえぐ今、オランダの地で成長を遂げる堂安は少なくとも真剣に戦力として検討されるべき存在だ。3月の欧州遠征に招集されなかったことで残されたタイミングは本大会直前だけとなり、サプライズの可能性は高くはない。しかし仮にワールドカップへの出場という最高のフィナーレを迎えなくても、堂安がこの1年間で大きな飛躍を遂げたことに変わりはない。
2015年の段階で、2018年春に堂安が欧州の地でこれほどの活躍を見せると予想することは、やや楽観的過ぎたかもしれない。しかし日本代表がワールドカップ初出場を成し遂げた時にはまだ生まれてもいなかった若武者は、その実力で「未来」を手繰り寄せてきた。具体的な時期はともかく、日本代表にももうすぐ手が届くだろう。果たして彼が今から2年半後にどこにいるのか、期待は尽きない。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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