代表チーム 日本代表

ハリルジャパンの完成度に悲観的になる必要はない。ウクライナ戦の結果より重要なこと

著者:マリオ・カワタ

 日本代表は27日のウクライナ戦に1-2で敗れ、ベルギー遠征は1分1敗という結果で幕を閉じた。チームとしての未熟さが強調されることになった2試合ではあったが、だからと言ってワールドカップでの結果が決まってしまったかのように悲観的になるのは過剰反応だろう。まだ修正のための時間は残されており、現状への危機感の高まりはむしろ必要なものだ。2010年の同じ時期に主力を欠いたセルビア代表にホームで完敗した時に比べれば、そこまで酷い状況ではない。

 ウクライナ戦で浮き彫りになった課題の一つは、相手の攻撃への対策がはまらなかった時にあまりにも簡単に脆さが露呈してしまったことだろう。槙野は試合後、前半は高い位置からプレスを掛けるのではなくブロックを作って守るよう指示が出ていたことを明かしているが、この狙いはうまく機能していなかった。

 キャプテンの長谷部誠を中心に選手たちは互いにコミュニケーションを図ってはいたものの、ピッチ上の選手には迷いが感じられ、その結果として個人レベルで簡単にリスクを冒す判断ミスが散見された。多くの得点を期待できないW杯本番では、一つの失点が命取りとなる。ポーランドを相手に2失点すれば、勝ち点を取ることはほぼ不可能だろう。

 それでも1試合目よりも2試合目、前半よりも後半と、試合内容には改善が見えている。もちろんW杯本番では時間を掛けて問題の修正などしていられないが、そのためにあるのがテストマッチだ。ハリルホジッチ監督が「W杯直前に3週間トレーニングできる期間があるので、そこで守備と攻撃の両面で改善できる部分はある」と語っている通り、大会前にはチームとしてのまとまった時間も得られる。

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