「私は(ポルトとレアル・マドリードの監督として)チャンピオンズリーグで2回この席に座り、オールド・トラッフォードでマンチェスター・ユナイテッドを敗退に追い込んでいる。だからクラブにとって新しいことだとは思わない」
この言葉はユナイテッドの上層部だけでなく、クラブのファンにとっても限界を超えるものだ。セビージャに対する敗北に繋がった眠気を催すほどの酷いパフォーマンスの後、モウリーニョは自身のクラブの歴史にケチをつけた。クラブの遺産に対する彼のリスペクトは以前から疑問視されていたが、この言葉でその欠如は完全に明らかになった。
実際、ユナイテッドファンにはこうなることは分かっていた。キャリアを通じて、モウリーニョのトレードマークは消極的でほとんどの場合退屈なサッカーだ。しかし監督候補としてモウリーニョの名前が最初に挙がった時、ユナイテッドのファンはルイス・ファン・ハールのサッカーに心底うんざりしていた。モウリーニョに限らず、もはや別の人間なら誰でも歓迎される状態だったのだ。
彼の就任以来、すべては取引関係にあるようだった。ユナイテッドファンはサー・アレックス時代に憧れるのは止めるように、そして数十年に渡ってクラブのDNAに刻み込まれたポジティブで魅力的なサッカーは忘れるようにと言われた。代わりに約束されたのが、タイトルとヨーロッパ最高峰の舞台への帰還だった。モウリーニョは退屈だが、タイトルは取れるというのが定説だ。
確かに彼はトロフィーをもたらした。最初のシーズンにヨーロッパ・リーグを含む3つのタイトルを勝ち取り、チャンピオンズリーグの出場権も獲得している。その結果によって、彼はファンを苦しめたひどく単調なサッカーに対する批判から自身を守ることができた。
そして今季の初めには、希望が戻ってきた。ロメロ・ルカクを獲得したチームは好スタートを切り、複数の相手チームに4ゴールを決めさえした。しかしリバプール戦から雲行きが怪しくなる。ユナイテッドはプレミアリーグの最初の7試合で21得点を決め、勝ち点19で上位に位置していた。それに対しリバプールは守備に不安を抱え、レスターやマンチェスター・シティに敗れたばかりだった。
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