皮肉にも『ミシャスタイル』の浸透を感じさせたのは、ポジティブな面だけではなかった。前半の2失点はともに、GKも含め最後尾からボールを繋いでいく意識が高いゆえに危険な位置でボールを失ったことがきっかけになっている。ポゼッションを失った位置の分布図を見ると、ハーフウェイラインの手前でボールを奪われる回数が多かったことが分かる。もちろん後方からのビルドアップは継続して取り組む必要があるが、局面に応じた判断力はシーズンを通して問われることになるだろう。また当然この点を頭に置いて、セレッソのように前線から積極的にプレスを掛けてくる対戦相手も多くなるはずだ。
3失点目も、ペトロヴィッチ監督時代の浦和によく見られた形だった。2-2に追いついた直後ということもあり前線に厚みを持たせる一方、後方にスペースが空きすぎてリスクマネージメントが疎かになっていた。ソウザが前線にボールを送った時点で完全に1対2の数的不利を作られ、簡単に失点を許している。
最初から最後までオープンな展開となったセレッソ戦は、両チームにもっと多くのゴールが生まれていてもおかしくなかった。まだ未熟さは散見されるが、新体制での始動から2ヶ月も経過していないのだから、それは当然だ。むしろ注目されるべきは、開幕から2試合の現時点でペトロヴィッチ監督が自身の色を明確に打ち出し、見るものを楽しませるサッカーを展開していることだろう。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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