【SAMURAI BLUE 2017年総括】スター選手不在で奮闘する日本代表

説得力が不十分

　今年のSAMURAI BLUEは、ワールドカップ予選に不安を抱いた状態で始まっている。直接の対戦相手国に対するどんな負の結果も、日本が最終予選通過枠から外れてしまう可能性を意味していた。しかし、やるかやられるかが最も重要な局面、埼玉スタジアムでオーストラリアを下すと、1ゲームを残して大舞台への進出を決める。結局はサウジアラビアとオーストラリアにわずか1ポイントの差で、グループトップ通過を果たした。一歩つまずいていれば、大陸間プレーオフとなっていただろう。

　その後の親善試合は、チーム改善の礎を築く代わりに欠点を露出するものとなった。本当に納得のいくパフォーマンスはただの1つもみられていない。ホームにてシリア相手に中途半端なドロー（1-1）、ニュージーランドに辛勝（2-1）、ハイチ戦でも延長戦ゴールのおかげで敗北とはならずドロー（3-3）となった。ワールドカップのレベルからは程遠い国々を相手に、有望な結果とはとても言えない。

　新ユニフォームのお披露目となった11月のヨーロッパツアーでは、ブラジル（1-3）とベルギー（0-1）を相手に敗北する。結果の観点では”大惨事”ではないが、ブラジルは日本に完勝し、もう少し押し通されればさらなる点差をつけられていただろう。日本代表は後半になって良いプレーをみせたが、それまでにすでに結果は決められていた。ブラジルチームはそこまでに、あまりまとまりのない交替選手で埋められており、まるで練習試合かのようにプレーした。ベルギー戦ではパフォーマンスが良くなり、守備も良い動きをしていた時間が多かったが、吉田麻也のエラーでまたも得点を許してしまった。

　日本代表の攻撃は大きな問題で、現在は本当に決定的な選手がいない。流動的な攻撃をすることができず、従って得点チャンスを作り出すことができない。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督は、この解決方法の糸口がつかめていないようにみえる。さらには守備のミスが多すぎる。特には吉田である。たとえ89分間完璧なプレーをしたとしても、いつも極めて重大なミスをする。吉田はプレミアリーグで好調のシーズンを経て、歴代の日本人センターバックで最も成功を収めてきた。しかし”サウサンプトンの吉田”がもっと頻繁に現れなくてはならない。日の丸を背負うと他の選手になったかのようだ。