欧州各国リーグ戦はまもなく折り返し地点を迎え、後半戦へと向かうことになる。1月には冬の移籍市場が開幕し、現状に納得できていないクラブ、巻き返し狙うクラブ、更なる高みへの勢いを求めるクラブなどが動き始める。今季のプレミアリーグでは現在、マンチェスター・シティが無類の強さを発揮しているが、他のクラブは果たしてどのような状態なのだろうか。25日にイギリス『BBC』が報じた内容を基に、プレミアリーグ前期の総括を行いたい。
1位:マンチェスター・シティ
今季のマンチェスター・シティの活躍ぶりはオーナーやファンがまさに待ち望んでいた結果ではないのだろうか。ベルギー代表MFケビン・デ・ブルイネやドイツ代表MFレロイ・サネ、ブラジル代表FWガブリエル・ジェズスらの素晴らしい活躍がシティの無敗街道を支えている。もしも優勝した場合の同クラブが得た勝ち点が早くも気になる。
2位:マンチェスター・ユナイテッド
今夏、8400万ユーロ(約112億円)の移籍金でエバートンからベルギー代表FWロメル・ルカクの引き抜きに成功したマンチェスター・ユナイテッド。モウリーニョ監督も含めて関係者は今年こそ優勝トロフィーを掲げることができると意気込んでいたはずである。開幕当初は思い通りに進んでいたが、フランス代表MFポール・ポグバが負傷離脱を強いられるとそれにつられるようにルカクの調子が低下。現在、首位のシティに勝ち点差13をつけられており、タイトル奪取への道のりが早くも険しくなっている。
3位:チェルシー
昨季、プレミアリーグ初挑戦となったアントニオ・コンテ監督の下、見事優勝を成し遂げたチェルシー。しかし、今季の目標は早くもチャンピオンズリーグ出場圏内フィニッシュとなり始めている。今夏の移籍市場でモナコからフランス代表MFティエムエ・バカヨコを獲得したものの、マンチェスター・ユナイテッドへと渡ったセルビア代表MFネマニャ・マティッチの穴を完全に埋めるまでには至っていない。しかし一方で、レアル・マドリードからスペイン代表FWアルバロ・モラタを獲得したことはベルギー代表FWエデン・アザールをより一層輝やかせるきっかけになっており、後半の爆発に期待がかかる。
4位:リバプール
今夏、ローマからエジプト代表FWモハメド・サラーを獲得できたことはこれ以上ない収穫だったといえる。現在プレミアリーグ得点ランキングの首位に立っている同選手、ブラジル代表FWロベルト・フィルミーノ、セネガル代表FWサディオ・マネで形成される3トップの破壊力は抜群である。しかし、先日の対アーセナル戦で露呈してしまったように、守備に大きな欠陥が存在する。今冬、守備の改善に力を入れることが後半戦での巻き返しにつながるだろう。
5位:トッテナム
チャンピオンズリーグでの躍進とは裏腹に、プレミアリーグでは昨シーズンのような輝きを放つことができていない。今まで本拠地であったホワイト・ハート・レーンの改修に伴い、今季からウェンブリー・スタジアムで戦っているトッテナムはビッグクラブを相手に勝ち点を取りこぼしてしまっている。イングランド代表FWハリー・ケインの活躍は流石の一言であるが、イングランド代表MFデレ・アリは本来の力を発揮できていないように見受けられる。
6位:アーセナル
退任が噂されたアーセン・ベンゲル監督の続投が決まり、不本意な結果に終わった昨季の二の舞を演じたくないアーセナルはリヨンからフランス代表FWアレクサンドル・ラカゼットをクラブ史上最高額で獲得するなど移籍市場で動いた。しかし、シーズンが開幕してみると昨季とさほど変わらない雰囲気が漂っており、早くも優勝争いからは脱落し始めている。チリ代表FWアレクシス・サンチェスやドイツ代表MFメスト・エジルの去就が騒がれるなど、別の方面での問題も抱えてしまっている。
7位:バーンリー
ショーン・ダイク監督率いるバーンリーは、下馬評を覆す素晴らしい結果を出している。今夏、チームの要であったイングランド代表DFマイケル・キーンをエバートンへ引き抜かれてしまったが、今となっては特に問題はなかったように見える。欧州カップ戦を見据えた後半戦の戦いぶりに注目が集まる。
8位:レスター
今季、開幕からつまづき、一時は降格圏に沈んでいたレスターは10月にクロード・ピュエル監督を招聘。するとチームの成績は向上し、8位まで上昇した。今夏、ハル・シティからDFハリー・マグワイアを獲得したことが後半戦にも間違いなく生きてくるはずである。そして前線のアルジェリア代表MFリヤド・マレズ、イングランド代表FWジェイミー・バーディー、日本代表FW岡崎慎司らの活躍にも期待がかかる。
9位:エバートン
今夏、マンチェスター・ユナイテッドにベルギー代表FWロメル・ルカクを引き抜かれ、攻撃面に大きな穴が開いてしまったエバートンはその移籍金でアイスランド代表MFギルフィ・シグルズソンを獲得するなど積極的に補強を進める降格圏に長らく沈んでいた。結局、当時指揮していたロナルド・クーマン監督を解任し、新たにサム・アラダイス監督を招聘。すると元イングランド代表FWウェイン・ルーニー中心のサッカーで勝利を積み重ね、降格圏から見事に脱出して年末を迎えることに成功した。
10位:ワトフォード
マルコ・シウバ監督の下、良いスタートを切ることに成功したワトフォードだが、バーンリーやクリスタル・パレスに敗戦するなど勝ち点を上手に積み重ねることができていない。しかしながら、広い視野で見てみると、それでもここまで悪くないシーズンを送ることができていると言えるのではないだろうか。
11位:ハダースフィールド・タウン
今季、プレミアリーグで戦うことになったいわゆる「昇格組」として呼ばれているハダースフィールド。プレミアリーグでも一、二を争う熱狂的な雰囲気に包まれる本拠地をバックに勝ち点を積み重ねている。実際、マンチェスター・ユナイテッドに4-1で勝利するなどビッグクラブ相手に見事な戦いぶりを披露している。
12位:ブライトン
今季ここまでタフな戦いを強いられているブライトンは、明らかなゴール欠乏症に陥ってしまっている。監督をはじめ、チームとしてこの症状を改善する打開策をどうにかして見つけ出す必要があるだろう。このままでは一層厳しい後半戦が待ち受けているだけだ。
13位:サウサンプトン
クロード・ピュエル監督が去った後、マウリシオ・ペジェグリーノ監督を迎えたサウサンプトンだが、船出は厳しいものとなってしまった。ゴール欠乏症に陥っている現状を考えると、昨季のように8位以内でフィニッシュすることは難しいように思える。オランダ代表DFファン・ダイクが抜けてしまうことがあるならばより深刻な状況に陥りかねない。
14位:ストーク・シティ
今夏、カメルーン代表FWエリック・マキシム・シュポ=モティングやスペイン代表FWヘセを獲得し、攻撃陣の活性化を図ったストーク。しかし、逆に守備陣が壊滅的な状態になってしまった結果、この位置に甘んじることなってしまった。今冬の移籍市場での守備面の強化は必須だろう。
15位:ニューカッスル・ユナイテッド
昨シーズン、2部で優勝し1年でプレミアリーグの舞台へと戻ってきたニューカッスル。しかし、残念なことに同じことを繰り返しそうになっている。ラファエル・ベニテス監督の下、ヨーヨークラブ(降格・昇格を繰り返すクラブを指す)にならないためにも今冬の移籍市場での積極的な動きが求められるだろう。
16位:クリスタル・パレス
今シーズン、開幕7試合連続無得点での敗戦を喫するなど最悪のスタートとなってしまったクリスタル・パレスは今夏招聘したばかりのフランク・デ・ブール監督をすぐに解任した。その後、元イングランド代表監督であったロイ・ホジソン氏を迎えると苦しみながらもなんとか暗いトンネルの中から光が見え始めている。
17位:ウェストハム・ユナイテッド
今夏の移籍市場でレバークーゼンからメキシコ代表FWハビエル・エルナンデス(チチャリート)を獲得するなど動いたウェストハム。だが、スラベン・ビリッチ監督の下、チームは良い方向には進まず、降格圏に沈んでいた。結局、ビリッチ監督は解任され、新たにかつてマンチェスター・ユナイテッドなどで指揮した経験を持つデイビッド・モイーズ監督を招聘した。まだまだ課題は山積みではあるものの、なんとか降格圏から脱出することに成功している。
18位:ボーンマス
ボーンマスはこれまで厳しいシーズンを送っている。守備が崩壊しており、無失点試合が非常に珍しい状態になっている。後半戦は間違いなく今夏加入したイングランド代表FWジャーメイン・デフォーの爆発が欠かせないだろう。さもないと春の訪れと共に悲しいニュースも訪れてくるようになる。
19位:ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
今シーズン開幕当初は好スタートを切ることができていたWBAだが、その後尻すぼみになってしまった。現在もアラン・パーデュー監督の下、苦しい戦いが続いている。後半戦は、今夏半ば鳴り物入りでライプツィヒから加入したスコットランドオリヴァー・バークの真価が間違いなく問われることになるだろう。
20位:スウォンジー
今季のこれまでのスウォンジーの戦いぶりは非常に落胆させるものである。今夏の移籍市場でエバートンにチームの大黒柱的存在だったアイスランド代表MFギルフィ・シグルズソンを、トッテナムには攻撃の軸だったスペイン代表FWフェルナンド・ジョレンテを引き抜かれてしまった。更に悲しいことに、バイエルン・ミュンヘンからローンで獲得したポルトガルの新星レナト・サンチェスが殆ど戦力として役に立たなかった。その結果、プレミアリーグ残留への道はとてつもなく厳しいものになってしまった。
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