セリエA ミラン

名門ミラン躍動の理由は爆買いのみにあらず。最大の補強は“19歳生え抜き”【MatchSTORY】

 ミランが名門復活の時を迎えようとしている。ヨーロッパリーグ予選も含め今季開幕から公式戦6連勝。うち開幕5試合連続でクリーンシートに抑えた。これは1993/1994シーズン以来の快挙で、当時チャンピオンズリーグ(CL)決勝でドリームチームであったバルセロナを4-0で下したシーズン以来というのだから、ミラニスタ(ミランファンの愛称)に期待するなという方が無理があるだろう。

 今季のミラン好調の理由として、もちろん大型補強に触れないわけにはいかない。計11人の新戦力を獲得したミランは、中国資本を武器に合計約195億ユーロ(約255億円)を移籍市場に投じた。とりわけ加入後すぐさま新キャプテンに主将したレオナルド・ボヌッチ獲得は今夏の移籍市場でネイマールと並ぶ最も衝撃を与えた移籍となった。

 しかし、現時点でミランにとって“最大の補強”となっているのは、意外にも新加入選手ではない。19歳の下部組織出身選手であるイタリア人FWパトリック・クトローネの活躍が際立っているのだ。同選手は今季すでに公式戦4ゴールの活躍を見せている。ゴール前でのプレーに長けており、献身性も高い。左右両足を選ばず得点できることも強みだ。先日のカリアリ戦でもスソのクロスに見事な抜け出しを披露し、すでに多くのファンは“レジェンド”フィリッポ・インザーギと重ね始めた。

 現在クトローネは新加入のポルトガル代表FWアンドレ・シウバやクロアチア代表FWニコラ・カリニッチを押しのけて先発の座を確保している。モンテッラ監督は長期的に2トップの採用も示唆しており、今後は新加入2選手とのコンビネーションにも期待がかかる。

 今季大幅な補強で血の入れ替えを行ったミランだが、ユース出身のイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマや同じくMFマヌエル・ロカテッリなど有望な生え抜きたちも躍動している。今季ミランが名門復活を遂げるとすれば、その原因は大型補強だけとはならないだろう。現在のミランは新旧戦力の融合で好調を維持している。